目覚め
「、、、あなた!、、あなた!アイズが目を開きましたよ!」
「なんだって!?今すぐ行く!」
女性の声らしき喧騒と男性の声で目を覚ました。
確か、線路に飛び込んで電車のライトが明るく光っていた所までは覚えている。
仕事が終わり、世闇の中終電の電車を待っていたんだ。
その日も上司に叱られ、気分はいつも以上に落ち込んでいた。
同僚の先輩方からは、白い目で見られ喋りかけられることも無くなり、誰とも話さない。
被害妄想ばかり膨らんでいた。
その暗い状況から一転、今の状況はなんだろう。
どこかの医務室か病院にいるのか、辺りを見回すが何かおかしい。
レンガ作りを基調とした部屋に囲まれ、窓からは光が差し込んでいる。
天井は木材が交互に組まれ、がっしりとした印象だ。
「(いったいここは、、、)」
記憶を探っても合致するものはなく、混乱した状態の中、男性と女性が目の前に飛び込んできた。
「アイズ!目を覚ましたのか!?、アイズ!!」
大柄な男性が必死に自分に声をかけているのがわかった。
髪は短く黒色のオールバック、目はキリっとしていて、右目に大きな傷があるのが目立つ。
しかし、その威圧感とは裏腹に優しさなども感じ取れる、どこにでもいる父親の様な温かさだ。
「あなた!声が大きくてアイズがびっくりしちゃうわ」
こちらは一般の女性と同じくらいの背丈をしていた。
髪は赤茶色で腰まで伸びている。目はクリっとして、大きな瞳だ。
見てすぐわかるような、優しくて母性溢れる女性なんだと思う。
「生まれてまだ3か月しか経ってないのに、急に目を覚まさなくなって。でも、無事に起きてくれてよかったよ。」
「ほんとね。一時はどうなるかと思っていたけど、安心したわ」
まだ周りの状況が掴みきれていない中、男性と女性の安心した声を聴き、再び意識が遠のいていった。
初投稿です。
温かく見守って頂けると幸いです。