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5

そう思っていると、ふと洋風の美少年と目が合った。


…妙な雰囲気を持つ美少年だな。


そんなことを考えていると、あの美少年が、


―くすっ―


と微かに笑った。


…何だ? まるで心を視られたような…。


いぶかしく思っている間に、彼等は次々と電車から降りていく。


美少年は1番最後に降りるみたいだ。


だが、降りる瞬間、口元が動いた。


声には出なかったものの、語っていた言葉は…。


―また、お会いしましょう―


と、確かに唇は動いていた。


電車の扉はすぐに閉まったが、彼は電車の外から私を見送った。


…どうも彼は、一般人ではないらしい。


しかし同属でもない。


なのに…自分と近い匂いがした。


「まっ、縁があれば、な」


縁があれば、また会えるだろう。


彼等、と―。


シートにゆっくり座りなおした。


まだ時間が早いせいか、人は少ない。


彼等が去ると、余計に静けさが感じられる。


だが懐に入れていたケータイが震えたことで、意識が現実に戻る。


開けて見ると、親友のミナからだった。


中学時代の2人の友達の墓参りを、友人達と行って来たという報告メールだった。


その墓参りで、フーカという同じ学校の女の子と知り合ったと、あったが…。


…何とも言えず、苦笑してしまった。


だが返答メールには、明るく喜んでやらなければなるまい。


送ってやった後、私はため息を吐いた。


…今年はかなり忙しかった。


どういうワケだか、同属が目立ってしょうがなかった。


それは多分…。


「ヤツ、のせいか…」


口の中の呟きは、誰に向けるでもない。


けれど確実に私の心を痛める。


目を閉じると、ありありと思い浮かべられる。


自分と同じ姿・形をした少年―マノン。


私の双子の弟。


私に最上級の愛憎を抱いている。


そして私も…マノンを心から憎み、愛している。


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