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そう思っていると、ふと洋風の美少年と目が合った。
…妙な雰囲気を持つ美少年だな。
そんなことを考えていると、あの美少年が、
―くすっ―
と微かに笑った。
…何だ? まるで心を視られたような…。
いぶかしく思っている間に、彼等は次々と電車から降りていく。
美少年は1番最後に降りるみたいだ。
だが、降りる瞬間、口元が動いた。
声には出なかったものの、語っていた言葉は…。
―また、お会いしましょう―
と、確かに唇は動いていた。
電車の扉はすぐに閉まったが、彼は電車の外から私を見送った。
…どうも彼は、一般人ではないらしい。
しかし同属でもない。
なのに…自分と近い匂いがした。
「まっ、縁があれば、な」
縁があれば、また会えるだろう。
彼等、と―。
シートにゆっくり座りなおした。
まだ時間が早いせいか、人は少ない。
彼等が去ると、余計に静けさが感じられる。
だが懐に入れていたケータイが震えたことで、意識が現実に戻る。
開けて見ると、親友のミナからだった。
中学時代の2人の友達の墓参りを、友人達と行って来たという報告メールだった。
その墓参りで、フーカという同じ学校の女の子と知り合ったと、あったが…。
…何とも言えず、苦笑してしまった。
だが返答メールには、明るく喜んでやらなければなるまい。
送ってやった後、私はため息を吐いた。
…今年はかなり忙しかった。
どういうワケだか、同属が目立ってしょうがなかった。
それは多分…。
「ヤツ、のせいか…」
口の中の呟きは、誰に向けるでもない。
けれど確実に私の心を痛める。
目を閉じると、ありありと思い浮かべられる。
自分と同じ姿・形をした少年―マノン。
私の双子の弟。
私に最上級の愛憎を抱いている。
そして私も…マノンを心から憎み、愛している。