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(4)10時20分 クマさんについていく私達

 クマさんに案内されてゾロゾロとついていく私たち。クマさん班の女子は4人。狙ったわけじゃないけどちょうど半々だ。あとの二人は半袖シャツの制服組で私服で来ている私や隣の子には寄って来なかった。


 クマさんは廊下を歩きながらこれから行く研究室について説明してくれた。


「ボクは輸送研究室のゼミなのでこちらを説明したら後半は最上っちの航行研究室に行きますから。聞きたい事があれば適宜聞いてね」


元気が取り柄みたいな開襟シャツ制服姿の男子が聞いた。


「稲山さんって今日はバイトなんですか?」


クマさんはわざとションボリと肩を落としたかと思うと元気よく答えた。


「時給良くないけどそうだよ。だからお給金分の仕事はするから遠慮なくなんでも聞いてね」


私はふと気になった事を確認した。


「稲山さんは他の大学卒業してからこちらの大学院に進学されたのですか?」


稲山さんは足を止めた。


「その通り。東京の大学で物流の勉強していてもっと深めたくて専門の研究室があるここの院に進学したんだけどよく分かったね」

「いいえ、単なる直感ですから」


 すぐ隣の子が寄って来て小声で話しかけてきた。


「どうして分かったの?」


ミフユはその子に顔を寄せるとやはり小声で答えた。


「院は学部と同じ学校からの進学は避けるようになって来ているからヤマ張っただけ。一つ鍵になった事はあるけどね。だから当てずっぽだよ。学内進学ならここの大学生活についても聞いていいと思ったし、他の学校からなら研究室について絞って聞いたほうがいいでしょ?」


 鍵とは腕時計だった。最上さんは防水で壊れたり無くなっても気にならない価格帯のもの。クマさんのは高価なもので多分防水じゃない。特段服装に気を遣ってはいなさそうな今日の服装で平気で高級なものを付けてくるって時計の使い分けなんかせずに普段から日常使いしてるのだろうけど、航海マネジメントコースで乗船実習とか受けてきた人なら最上さんのような選択するんじゃないか。そう考えたらクマさんがこの学科の学部卒の人と思えなかったのだ。


「なるほどねえ。あ、私は大井マミって言います。よろしく」


 大井マミが右手を差し出してきたのでミフユはすぐ右手を差し出してしっかりと握手した。


「私は古城ミフユ。神奈川から来ました。こちらこそよろしく」

「古城さんってやっぱり航海マネジメントコース志望?」

「うん。大井さんもそうなんでしょ?」

「このコース見学に来ていたら流石にそうだよねえ」


大井マミがそう言うとミフユ共々笑った。


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