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(1)9時 深江駅

 古城こじょうミフユは6時過ぎに呉の祖母の家を出た。電車を乗り継いで目的の神戸総合大学深江キャンパス最寄りの深江駅に9時40分過ぎにはたどり着いた。


 普通電車を降りる人波。同じ年頃の高校生を見ると同じ目的の子なのかななんて思いつつミフユは後に続いた。電車を出るともう茹だるような蒸し暑さ。妹と一度、この駅を降り立って祖父が撮った写真を調べた事があった事を思い出した。あの日も蒸し暑い日だった。あの時はまだ大学受験なんて考えてなかったな、なんて事を思いながら駅の外、強い陽射しの元に出た。


 ミフユはトートバッグを担ぎ直した。制服の子もちらほら見えるけど別に受験の日でもないし呉の祖母の家に制服なんか持って帰っていないから平然とTシャツに薄手のオフホワイトのジャケットにジーパンという格好で来たんだけどちょっと浮いてるかも。ま、それで何か言うなら徹底的に争うだけなのでいいか。


 交差点を3つほど隔ててそびえ立つ高架道路の方へと向かう子達、みんな、冬には狭き門を巡って争うライバルでもあるのだ。今日はオープンキャンパス、この大学の受験を考えている子達が見学に来る日。私もその一人なのだとミフユは気を引き締めた。


 高架下に架かる横断歩道を渡り西の方に歩いた所にある正門前には数十人ほどの高校生とその保護者達が集まっていた。三分の二ほどが制服姿で半袖開襟シャツや半袖シャツ、セーラー服姿だった。残り三分の一は大人しめの私服。まあ、こんなものかなと思う。

 保護者と一緒の子も結構いるのは意外だったけど、全国で東京と神戸の2校しかない海技資格試験で一部科目免除規定がある特殊な大学なのでこの道を目指すとなれば親元離れてとなる子が必然的に多くなる。寮も充実している所なので送り出す親御さんにすれば実地で見て納得したいんだろうな。

 ミフユの両親は二人とも神戸にいた事があってこの学校の事は知っていたからあっさり一人で行ってきたらいいよと言われた。10歳下の妹が一緒に来たがったけど、遊びじゃないし無事合格して入学したら遊びにきたらいいよと言ったらあっさり引いたのはさすが小学3年生と誉めてあげるべきだったかな、なんて甘やかしかな?

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