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触れ合う事により生じる物

「これでリシアと対等だし、それにゲームも出来るし熱い物を食べても平気になるわね!」


 俺の腕の中で色々な欲望を垂れ流しているクロエを見て、思う。

 こいつの人化を望んだ理由の半分くらいは、俺に関係無いないんじゃなかろうか。

 まぁ、喜んでるみたいだしいいけどね……。


 とはいえ、だ。このままじゃ俺は一方的に割を食うだけな気がする。

 それはーー正直言って、面白く無い。何か俺にも享受出来るメリットがあって然るべきだ!

 そこで閃く。今ならもう、クロエの事を撫で放題なのでは?

 一応両思いだし、最適化の影響は消えたのだから拒否する理由も無いだろう。

 そう思い立ち、早速クロエに提案する。


「ところでクロエさんや。君が撫でられるのを嫌がってた理由はもう無い訳で、つまり今後はいくら撫で回してもいいんだよね?」


 笑顔でそう告げると、先程までのハイテンションが一瞬にして消えて、俺から距離を取るクロエ。

 ……いや君、何で離れてるんですかね。

 自身の身を抱くようにしながら、それはもう素晴らしい程に完璧なジト目をして、クロエが言う。


「レスト……。アンタ……」


 え? なんだこの空気。別におかしな事言ってないよね?

 そんな風に困惑する俺に対してクロエから放たれた一言は、


「アタシの身体が目当てで人化をかけようと……?」


 などという、元の世界なら名誉毀損で訴えられても文句は言えない物だった。


「人化した上での話じゃないから。そのままの姿でいいんだよ!」


 俺は単純に猫を愛でたいだけなのに!

 そんな想いから出た言葉は、


「それはつまり……人化をかけてほしいなら、アタシの身体を好きにさせろって事!?」


 クロエの思考回路がアレなせいで、またしても酷すぎる曲解をされる。


「何でそんな話になってんの!? 俺さっき無条件で了承したよなぁ……!」

「とにかく! そんな恥ずかしい真似はさせられないわ。ほら、アタシはこれでも姫だし? 高貴な者には簡単に触れちゃ許されないって感じ?」

「ついさっきこの肩書きには意味がないとか抜かしてただろうが!」

「それはそれ、これはこれよ! 全く、男ならそんな些細な事、気にする物じゃないわよ!」

「……もう頭にきた。こうなったら強制執行してやる……!」

 

 そう言うが早いか、迅速に腕を伸ばしてクロエを捕まえる。

 既に体は全快しているし、不意を打てばこの程度の芸当は朝飯前だ。

 クロエは腕の中でもがきながら、俺を睨みつけてくる。


「ちょっと離しなさいよ! 例え好き合っていようと、強引に致すのは感心しないわよ!」

「今更そんな正論聞く耳持たんわ! ってか言い回しが微妙にエロいのほんとやめろ!」


 俺はそう言い捨てると、暴れる黒猫をしっかり片手で捕獲したまま、もう片方の手で撫で回す。

 毛並みがしっとりしていて気持ちいい。心に活力が満ちていくのが分かる。……惜しむらくは大人しくしてくれない事と、騒がしい事。


「!! レストのエッチ! スケベ! 強姦魔!」

「どうして撫でただけでそこまで罵倒されなきゃいけないんですかね。 大体お前、いつか撫でた時気持ち良さそうにしてたろうが! いいから黙って撫でられてろ!!」

「何よそれ! 本当は気持ちいいんだろ? とか、体は正直だな。みたいに思ってるんじゃないでしょうね!」

「どっからそういう知識を得てんだ! まさか黒猫族にはエロ同人とかそういう文化でもあんの!?」


 リシアは俺の記憶から、イロハは自身のアーカイブから、まぁロクでもない知識を得ている訳だが、クロエにはそんな物はないはずなのだが。

 そう不思議に思っていると、あっさりとクロエが元凶の名前を口にする。


「イロハに見せて貰った本に載ってたのよ!」


 イロハァァァ!! あんのポンコツは一体何を見せてんだよ!!

 ってか、いつの間に仲良くなってたんですかね。そんな伏線無かっただろ……!


「うん、イロハは後で締める。それはそれとして、もう少し堪能したら離してやるから、暴れるんじゃない!」

「もう十分でしょ! そろそろ限界なんだけど!? 誰か助けてぇ!」

「まだ足りんし、限界を超えた先には何かあるらしいから頑張れ。そして助けに来るものなど誰もおらんわぁ!!」


 後半部分はまるで悪代官だった気がするが、そんな事は気にしない。

 今、この時は、とにかく枯渇していた猫分を補充するのだ。因みに犬分の方に関しては供給過多まである。リシアは可愛いので全く構わないけど。

 そんな思考をしながら延々撫で続けていると、背中を何かに叩かれる。


 トントン。


 だがそんな事に頓着している余裕はない。油断すれば今にも逃げられかねないので、一向に気にせずクロエに注意を払い続ける。

 

 何かに集中するという事は裏を返せば、その何か以外に対して散漫になるという事に他ならない。

 冷静に考えれば気付けただろう。が、人は常に冷静であり続ける事など、出来はしない。

 冷静でない事、他の事に気を取られ周囲への警戒が疎かになっていた事。その代償は、それは高くついた。


「レスト、何を、しているの?」


 とても穏やかな声がした。……しかしそれは声の主が心穏やかである証明にはなり得ない。

 表面上は確かに穏やかであったが、激情を無理矢理覆い隠したが故の、微かな軋みのような物も、その声からは感じられた。

 ここに至って遅まきながら全てを理解した俺は、完全に硬直する。

 逃げ出す好機なはずだが、クロエの方も身動き一つしない。

 数秒、時が止まったような錯覚。

 いっそこのまま本当に止まればいいのにという、状況によってはロマンチックな願いは、当然叶わない。


「クロエも、告白してもいいとは言ったけど、そこまでしていいとは、言ってないよね?」


 俺は首を動かさないようにしながら、クロエに目配せする。

 逃げるぞ……。

 するとクロエも同じように目配せしてきた。

 それしかないわね。多分だが、こんなとこだろう。


 次の瞬間ーークロエを自身の逃走経路と真逆に投げて、全力で逃亡を図る。

 先程は放り投げた事に散々文句を言っていたクロエだが、これが生存率を上げるための策である事を理解しているのだろう。無駄口を叩く事もなくそのまま駆け出す。

 これで少なくとも片方は助かるはず。そう思いながら後方を確認する。が、意外にもリシアはその場から全く動かず、その代わりに口が動く。小さな声で、一言。


「そうすると、思ってた」


 そして突如俺の目の前に現れるイブキさん。

 ぶつかる!? と思ったが、イブキさんにはぶつかる事はなかった。

 何故ならその前に張られた、透明な障壁のような物にぶつかったから。

 衝撃で背中から倒れた俺の目に映った物は、笑顔のコトノハと地面に倒れたクロエの姿。

 恐らくだがコトノハが張った障壁にぶつかり、俺と同じように弾かれたのだろう。

 これはもう逃げられないな……。


 そう観念した俺は全てを諦め、己の運命を受け入れると、死んだ目で天井を見つめ続けた……。


 



ちゃうねん。今日遅れたのは寝落ちたからやねん…

さて茶番回。全く話進んでなくてほんと草。

そいや無双出たし活動報告でも書くか

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