伊藤潤二作品について
伊藤潤二先生は、日本の代表的なホラー漫画家です。
代表作は「うずまき」や「富江」などですね。
独特な世界観で、見るものを恐怖と幻想の世界に連れていってくれます。
わたしはこの作家さんが大好きです。
まず、出てくるヒロインがとても可愛いです。
美人と美男を描かせたら、ピカイチだと思います。
ただ綺麗なだけではなく独特の色気や雰囲気を醸し出しています。
それが物語に惹き付けられる大きな要素なんでしょうね。
また気持ち悪かったり、生理的に怖いと思う要素も多く仕掛けているのが特徴です。
まず、生物編。
ナメクジや蚊といったような、誰でも嫌いな生き物と人間を融合させたりします。
次に体のパーツ編。
体の一部がおかしくなります。ぐにょぐにょに捻れても生きているとか、お腹から内蔵が飛び出ても動けるとか。異常な状態なのに、普段通りに行動しているキャラクターたちがかえって不気味です。
続いて食事編。
死体の肉を食べるとか、母親の胎盤を食べるとか。
オエッてなるような描写です。これは人間の三大欲求「食欲」に訴えているやつですね。
次に民族的な信仰編。
これらの原因は古代の遺跡が原因でした、などのネタバレ。
ネタバレしてても、それが不思議すぎて興味が絶えません。読後の印象は強い恐怖ではなくなりますが、今までさんざん怖がらせられていたので、こういうスッキリする終わりかたをしても、不満が残ることはありません。
手塚治虫の「三つ目がとおる」も、写楽の不思議な力は古代の遺跡のおかげ、っていうのがありましたね。
遊戯王もそうでした(これについては、かなり「三つ目がとおる」に似てると思った記憶があります)。
伊藤潤二作品の多くは、ああいうジャンルを超えた不思議な余韻に浸れます。
次にスケール編。
やるからにはどんどんエスカレートして、町ぐるみ、さらには星ぐるみまで影響が広がっていきます。
このトンデモスケールが、底抜けにぶっとんでて気持ちがいいです。
先生の作品のひとつに「地獄星レミナ」というのがあるんですが、あれは惑星を喰らう巨大な生物が地球を丸のみにするという超巨大パニックホラーです。
あれはぜひ一度ご覧になってみてほしいです。
SFまでからめてくるなんて、この人は本当に天才だなと思いました。
しかも重力とか、災害中の描写とかのリアリティがものすごいんです。
感情編。
「死人の恋わずらい」という作品は、サディスティックで冷酷な幽霊の美青年が出てきます。町中の女の子を、文字通り死ぬまで振り回す話です。
「富江」もそうですが、伊藤潤二先生は「恋心」とか「人間の欲望」を描くのがとてもうまいですね。
だからこそ、魅了されるのでしょう。
ぜひ参考にしてほしいです。
伊藤潤二先生の作品については以上です。
次回は生理的嫌悪について、考察したいと思います。