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現実とリンクさせる手法

 胸糞注意です。

 よく「この物語を読んだ人は呪われる」みたいに、現実にリンクさせて怖がらせようとする作者がいます。その作品のほとんどは創作なので「安全」ですが、一歩間違うと本当に危険です。極端に怖がりな人や、信じ込みやすい人は簡単にノイローゼになっちゃうからです。


 「もし本当だったらどうしよう」って。


 呪いなんか存在しないのに、あたかも呪いにかかったようになって、本当に精神を病んだり体を壊しちゃったりします。それがますます「呪い」だと思い込む原因になったりします。


 これって一番怖いことなんですよね。

 影響が出すぎちゃっているわけですから。

 わたしはそういうお話をネットとかで見ると、「怖いな」と思うと同時に胸糞悪くなります。


 それを楽しめるほどの余裕がないだけなのかもしれませんけど。

 でももし、この物語の「ルール」を信じ込んで本当に精神をおかしくしてしまったら。最悪死んでしまう人が出たりしたら、作者はいったいどう責任をとるのでしょう。

 まあ、とらないのでしょうね。

 自分が悪いわけじゃないって、逃げるんでしょう。


 

 たった一行だけ、最初か最後にでもちゃんと「フィクションです」と明記してあればいいんです。

 読者がちゃんと「これは創作なんだ」とわかるようになっていれば。

 「小説家になろう」では、下の方にちゃんとその一文が全部の作品に勝手につくようになっています。なのでとっても安心ですね。安心して、怖がりさんでもホラーを読み進めていけます。


 でも、それさえなく、怖がらせるだけ怖がらせてあとは知らないという……一種の無責任さを感じ取ってしまう作品は、もうだめですね。わたしはそこでその作品をどうしても許せなくなってしまいます。それはもうエンターテイナーとしても失格だと思うからです。


 ですから、そういう作品にはできるだけしないようにしてください。

 ブログやここのサイト以外に投稿する際は、よくよく気を付けて載せましょう。

 


 一方、うまくリンクさせている作品というのは良質なものが多いですね。

 現実とフィクションの塩梅が絶妙というか、これぞまさに「エンターテイメント」と感じます。


 「リング」という作品は特に秀逸でした。

 最初、わたしはこの作品をレンタルビデオショップで発見しました。

 記憶が定かでないですが、たしか映画「リング」のプロト版とでもいいますか、マイナーだったころの作品です。あのころはレンタルビデオ屋に通って、マイナーなホラー映画ばかり毎週のように借りていました。


 最初見たとき、めっちゃビビりましたね。

 「これって……これもビデオじゃないか!」って。呪いのビデオがわたしの手元にもある! これ、このままだったら呪われちゃうんじゃない? そうだよ、これ今すぐダビングしないとって。


 でも、思えばうちにはビデオデッキが一台しかなく、しかも売られているビデオはダビングができないようになっていました。なのであきらめて、泣く泣く「そうだ、これは作り物だ、作り物……」と必死に自分を納得させ続けていました。



 あとは「パラサイト・イブ」です。

 これはゲームから入ったのですが、原作も読んでみました。ミトコンドリアが暴走して、異常な事態が起こる、というパニックものに近いホラーです。

 現代科学を取り入れた斬新なものでしたね。オカルトだけではなく、ちゃんと科学で根拠を入れてきたところがリアリティあって良かったと思いました。


 同様の手法で科学を取り入れているのは「十三番目の人格 ISOLA」とかですね。

 臨死体験を研究するためのマシーンが出てきたりとか、幽霊を科学的に検証するってのが良かったです。あとは多重人格などの病気とかですね。そういうのを絡めてきたのも、このころから出てきたような気がします。

 「アリス―Alice in the right hemisphere」とかもサヴァン症候群とか、脳科学とか題材にしていたような気がします。

 良かったら、一読してみてください。



 ホラーではないですが、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」通称ネバーエンディングストーリーも良かったですね。

 読んだときに一番感動しました。お、これは主人公が読んでいる本と同じじゃないか、装丁が全く一緒だ、なんだこの仕掛けはって驚きの連続でした。もしかしたら自分もアトレーユと会えてるんじゃないかってつい、夢見てしまったり。

 わたしが一番好きな本です。



 このように、うまく現実とリンクさせると臨場感が出て、物語が現実に飛び出してくるような印象を読者に与えます。フィクションなんだけど、どこかリアルで、「もしかしたら……」というような想像をかきたてられるわけですね。


 わたしも作品中に実際の地名を出したり、お店の設定などを詳細に作りこんだりして、「この世界の人たちって本当にいそうだなあ。自分の街にもいたりして」と思わせるような仕掛けをしています。



 こういう「現実とリンクさせる」という手法はさじ加減がとても難しいです。

 一歩間違うと人に迷惑をかけます(地名をディスったりすると、地元の人にクレームを入れられる等)。

 大事なのは「あくまでも人々を楽しませるためにする」ということです。

 それをこころがけて作品を書いていってほしいと思います。



 次回は、逆お気に入りユーザーさんからのリクエスト、ホラー漫画家、伊藤潤二先生について書きたいと思います。

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