ホラーとコメディーとシュールは紙一重
ホラーと紙一重なものに、コメディーとシュールがあります。
コメディーというのは「ずれ」や「おかしさ」といった要素のある作品全般を指すジャンルです。
ドリフなどでよくある「空からタライが降ってくる」を例にあげてみましょう。
そこで笑いが起こるからコメディーになるのですが、これってよく考えるととても怖い状況じゃないですか?
スタジオでタライを落とす人がいるとわかっているから笑えるものの、もしこれが現実世界で起こったら、いったい誰が落としたのか。そもそもどこから? 見上げても空しかないのに、何べんも落ちてくるのはなぜなのか。考え始めたらきりがありません。
今後も続くとしたらぞっとするような状況でしょう。
【僕は高層マンションに住んでいる。今朝出勤しようと一階のエントランスを出ると、すぐ背後に大きな音がした。地面を見ると、植木鉢が粉々に砕け散っていた。また次の日、出勤しようとするとすぐ目の前に植木鉢が落ちてきた。次の日は、自分の肩に当たりそうになった。だんだん近づいている。上階の人間が落としてるのかと見上げてみたが、こちら側は窓が全くない北側だった……被害届を出したが警察も首をひねっている】
たとえばこんな感じです。
不可解な状況であればあるほど、非日常であればあるほど、怖さが増しますね。
不可解であっても「なーんだそういうことか」とあとで理解できる状況だとコメディーになります。
それと、もうひとつ似たものに、「シュール」があります。
これはフランス語のようです。
非現実的なもの、現実離れしたもの、理解できないもの、わけのわからないものなどに名付けられます。
これを追究していったものは「芸術」となったりしますが、とりあえずはホラーにおける例をご紹介しましょう。
たとえば、険しい山の頂上にポルシェが置いてあったらどう思うでしょうか。
どうやって車がここにあるのか、と思いませんか?
そして誰が、何のために、と。
ホラーで言うと、誰もいない廃屋に人の気配がする、といった感じで使われます。
このようにホラーとコメディー、シュールは微妙なさじ加減で分けられています。
逆を言えばコメディーやシュールを研究すると、いいホラー作品が書けるかもしれません。
ものすごく笑っている人とか、美を突き詰めすぎた芸術家なんて、怖い人として描かれますよね。
みなさんも、そんな状況やキャラを生み出してみてください。
次回はハッピーエンドとバッドエンドについて書いてみたいと思います。