エロシーンを入れるべし
恐怖というのは、「自分が死ぬかもしれない」というところに最終的には行き着くと思います。
「死にたい」人間にとっては「死」というものはそんなに怖くはありません。
むしろウェルカムです。
「生」に執着する人間だからこそ、「死にたくない」「絶対に死ねない」と思い、「死」というものがとても怖くなるのだと思います。
よく、ホラー小説(映画)には「エロシーン」が出てきますね。
極端にいうと、女性の裸やベッドシーンです。
性欲というのは、まさに「生きる」ことの象徴でもあります。
これを差し挟むと、主人公(読者)がより「死にたくない」と強く思うきっかけになります。
あと、「死亡フラグ」について。
「これが終わったら、俺彼女にプロポーズするんだ」と結婚をにおわす主人公、とか。
「お前とは飲みたい酒がまだいっぱいあるからな。絶対ともに生きて帰ろうな」とかいう戦友。
彼らはなぜ「死亡フラグ」が立つのか。
それは、そういう描写をすることによって、彼らの死をより印象づけたい作者の狙いがあるからです。
苦あれば楽あり。楽あれば苦あり。
とてもいいシーンがあったあとは、ものすごく悪いシーンが控えているものです。
また、最悪の展開があり、そこから無事脱出すると、ものすごい感動的な場面になったり……というのも割りと昔から使われてきた手法です。
相反する二つのものを交互に展開させる。
それは何もホラージャンルに限ったことではありません。
ですが、特にホラーで言えば、死と相反するもの「生」=「人間の三大欲求」になっていることが多いです。
●性欲(恋愛・結婚・妊娠など)
●食欲
●睡眠欲
性欲についてはすでに言及しましたが、その他の二つ、食欲や睡眠欲についてです。
これは恐怖にさらされている状態ではまったくといっていいほど存在しません。
そのため、霊にとり憑かれた人間はよくげっそりと痩せてしまったりします。
例としてあげますと、多くの怪談話のセオリーはこんな感じです。
【あるところに、男女数名のグループがいた(性欲)。彼らは普段飲み歩いたり(食欲)、いろいろなところに遊びに出掛けたりしていた。ついに、立ち入ってはいけない心霊スポットに行くことになるが、そこで悪ノリしたために全員が呪われてしまう。次々と悪霊に襲われて死んでいくメンバーたち。唯一、羽目を外し過ぎなかった主人公は生き残ったが、不眠(睡眠欲の喪失)になり、顔もげっそりとこけ、みるも無残な姿になってしまった】
他にも強調させたいために、いろんな伏線を張ったりしますが、そのあたりは各自で頭を使ってください。要はいかに生に執着させるか、です。
次回は、「狂気」について書こうと思います。