表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生なんて!  作者: 三吉
一章「おとぎの国」
1/2

X8話「転生なんて」

 小児性愛は犯罪だ。

 これは世界の常識だ。

 だったら十八歳の私が、三十五歳の少年に押し倒されている状況は、この世界で何と呼べばいいのだろう。

 全てが許されてしまう、このおとぎのの国で。


「これは正しいことじゃない」

「何回目? 私から誘ったじゃん」

「それでもだよ、俺はまた間違えるんだ」


 私を押し倒す少年の大きな瞳から、大粒の涙が溢れていた。

 私のほっぺに落ちて、ゆっくり肌を伝う感触が生暖かくて、ひどく生々しい。


 これはきっと間違いだ。

 私より背の低い少年は、たしかに三十五歳の情けないおっさんのような、くたびれた声で泣いていた。

 どう見ても、十二、三歳ぐらいの少年が、顔をくしゃくしゃにして泣いている姿なのに。

 歪で、おかしくて、私は思わず噴き出してしまった。


「ふっ……」

「えっ、なに?」

「男って弱いんだね」

「女子が強すぎるだけだろ」

「そんな事ない、私だって泣くもん」

「知ってるよ。何回も見た。いざって時に強いなって言ってるんだ」

「今がそのいざって時なのに泣いてんの、ダサ」

「年取ると涙もろくなるんだよ……」

「それ、今言っても説得力ない」

「だから……転生、……」


 少年は何か言おうと口を開いて、迷ったように目線を泳がせる。そして目を閉じてしまった。

 ここから先は、私が口にしなきゃいけない。


「好き、だいすき、私の初恋。私の初めて。……私のヒーロー」


 少年の首に腕を回して抱き寄せた。

 子供の体温は高くて温かい。

 ゼロ距離でとくとくと、速い心音が伝わってくる。


 わかってる。

 これはきっと間違いだ。

 でもここは、おとぎの国だから。

 法も倫理も常識も届かない場所だから。

 今だけこの間違いを許して欲しい。


 法でも倫理でも常識でもなく、私は私に許しを乞うた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ