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0006 私の役目

次の日の朝、マカと圭が話をしていた。


「昨日は安眠できたのか?」

「強制的にだったけどね。久しぶりに」


昨晩、ガーノとスイに強制的にベッドに入れられ、寝るように促されていたのだ。


「…6徹とか言ってたな」

「警察も寝れないことぐらいあるんじゃない?」

「せめて3徹だ」

「…そうすか」


改めて自分は異常だと自覚するマカであった。


「聞きたいことがある」

「なに?」

「あの毒入り達はどうした?」


毒入り。同じく昨晩、この村の人からの歓迎で出された料理に毒物が混入した騒ぎがあった。それを解決するため、マカは圭に、毒入りの料理を全て渡すようにと伝えていた。


「僕が食べた」

「解毒剤は?」

「飲んでないよ」

「…は?」


さすがに間違えを疑った。


「あ〜、僕大体の毒は効かないからね。村の人は悪意なく作ったのに悪いなって。全部食べた」

「そうか…」


圭はついに詮索するのを諦めた。


「普通に美味しくなかった?この村の人が作った料理」


毒が無味でよかったー、と呑気なことを言う彼女。


「……まあ」


それに曖昧な答えしか出せない圭だった。答えを出す加護もってるのに。



一方その頃、ガーノとスイは…


「なんか仲良くね?あいつら」

「マカが気に入ったんだって」

「可哀想に。あのままマカにこき使われてあいつは一生を終えてしまうんだ」


酷い言われようである。


「それはがーにぃも一緒だと思う」


スイの発言に耳を疑った。


「俺ってアイツに気に入られてたのか?」

「うん」

「……マジか」


ガーノは身の危険を感じた。


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そして、昼。魔獣達の行進が村の直前まで迫っていた。


「本気で言ってる?」


マカは再度確認をする。


「ああ」


圭は迷いもせず、肯定した。


「普通の人間である君が行くより、僕らで」

「いや、今までかなり助かってきた」


「あんたも充分成果出てたと思うけどな」とガーノが云う。


「ここで少しは私も実力を見せておかないとな」


「聞いてないよガーにぃ」とスイ。


「これでも、負けず嫌いなもので」

「……あぁ、よく知ってるよ」


「スイさん」

「何?」

「私の帽子を預かってくれないか?」


圭は、警察帽を手にしてスイに差し出した。


「うん、いいよ」

「頼んだ」


スイが帽子を受け取り、大事そうに抱えるのを見ると、彼は魔獣に向き直った。


「さて」


彼は警棒を握り、挑発的に云った。


「前線は私が行く。ついてこい」


それにマカが面白そうに笑って云う。


「了」


そして、彼女は着ていた白衣を脱ぎ、ガーノに放り投げた。


「は?」

「ってことでそれ頼んだ!」


ガーノのことは見向きもせず、圭の後を追うマカに対して、彼は、少々怒ったようだ。


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圭は魔獣の群れに一直線に走っていく。彼女は圭の実力を見極めようと少し後ろからついて行った。


彼はまず、魔獣の先頭にいるオークに目をつけた。低い姿勢でオークの懐に素早く潜り、人間で言う、顎の部分に持っていた警棒を勢いよくぶつけた。


「おぉ」


マカは思わず声を漏らした。想像以上だったからだ。

警棒とは、本来、過度に相手を傷つけない形状をしている。それなのに、オークに対し、かなりの威力を誇るものだから、マカは特別製のものであると考えた。


強力な一撃を与えた圭だが、オークはまだ意識を保ち、彼に殴りかかった。

しかし、マカが持っていた銃で、オークの頭を射抜いた。


「気ぃ抜いてるんじゃないよ?圭くん」

「うるさい」


まるで、怒った思春期の子供のような云い方だった。

圭はすぐに、もう1匹のオークに目をつけた。彼は警棒をオーク目掛けて投げた。


(武器を手放した!?)


マカは心底驚いた。そして無謀だと思った。


(さすがに生身の人間がオークとやり合うのは…)


1歩だけ、前に出た。圭を止めるか助けるかするために。だが、彼女はすぐに動きを止めた。


彼は、岩橋圭は笑っている。まるで無邪気な少年のように。


それを見たマカの脳裏に、彼女の名前を呼ぶ、誰かの声がよぎった。マカは悲しそうな顔をした。



圭はいつの間にか、警棒を囮にオークの背後へ回っていた。彼はオークの肩に飛び乗り、足で首を挟んで、そのまま右に回転した。オークの首は折れ、地面に倒れた。瀕死の状態だ。

圭は地面に落ちた警棒を拾い上げ、喋り始めた。


「私の役目は、人間を害から守ること」


彼は、倒れたオークを見つめていた。


「その害というのは、貴様ら魔獣が大半だ。人間に害をなし敵対するものを排除する。私はこの仕事に、誇りを持っている」


1拍置いて、再び口を開く。


「そんな私の目の前で、悪事を働かんとする貴様らは、1人残らず」


「死刑だ」


その言葉と同時に、彼はオークの頭に警棒を振り下ろした。鈍い衝撃音が響いた。


それを見ていた、誰もが圧倒された。そして、その場の皆を高ぶらせた。


彼の言葉が、今日の乱戦の合図となった。




この村に、討伐のため集まった者は皆、戦場に飛び出した。2人を除いて。


ガーノとスイは、皆の戦いを見守っていた。


「岩橋ってやろうが啖呵切ってから、全員のやる気が上がったな」

「対抗心っていうか、なんていうか」


ガーノは、長いため息を着いた。


「相手は30以上。俺らは10人前後。負け戦かと思ったんだけどな」


俺たちが出る幕もねぇ、と。

それは安堵のためか、悔しさのためかの言葉かはわからない。


「このままだったら順調に終わりそうだね」


スイは、完全に安心しきったのか、警察帽を握り手を、少し緩めた。


《いや、まだだよ》


その言葉が聞こえたのは、スイの台詞のすぐ後。脳内に直接響くかのような声だった。


「マカ!?」


ガーノもスイも驚いた。スイがいち早く彼女の名前を呼ぶと、その声は面白そうに云った。


《はーい。脳内会話でーす。脳に直接送ってまーす。》

「び、びっくりした」


ガーノは再びため息を着いた。


「それで?まだってどういうことだよ」

《やっぱり見通しが甘いな、ガーノちゃんは》

「あ゛?これでも隊長だぞ。俺は」

《ははっ、確かに》


ふたりが話していると一向に進まなそうなので、スイが、話をするよう促した。


「マカ、早く教えて?」

《……わかった。それじゃあ、本題に行くよ》


マカの声が少し真剣になった。


《この騒動には、確実に黒幕がいる。そしてその黒幕は…》


《あの魔獣の中のどれかだ》



「それで、目星はついてんのか?」

《まあね。そいつを的確に、そして迅速に殺すために、僕は()()を使おうと思うんだ》

「あれって……まさか!?」

あれと聞いて、ふたりが思い浮かぶのは、ひとつしか無かった。


《だから一応伝えとこうと思って》

「だ、ダメだよ!さすがにここじゃ人が多いし」

「……わかった。申請しとく」

《ありがとう》

「ガーにぃ!!」


スイは2人を説得しようと、全力だった。

しかし、マカはともかく、ガーノまでも、その説得に応じる気はなかった。


(マカがここまでするんだ。信用しようじゃねぇか)


《あとスイ、もし怪我人が出たら君だけが頼りだ。頼んだよ》


「……わかってる」


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「さて、黒幕探すか」


彼女は考えた。

アイツなら、どう隠すか。しかし、彼女はアイツの心情を知らない。だからこそ、知らないからこそ考えろ、と。


()()()がどんな野郎で、どんな思考回路を持っているか。いつやってることとそう変わらないはずだ。考えろ)


「アイツなら……」


そう、呟いた時だった。


「最後列の兎。兎魅(うみ)

そう、どこからか聞こえた。


「!?」


彼女は、その声が聞こえた木陰を見た。しかし、既にそこには誰もいなかった。


彼女は魔獣の横を縫うようにして通り抜け、最後列まで向かった。




「ッバカか、あの人は!?」

それを追う者を知らずに

最後の台詞は圭くんです。分かりずらくてごめんなさい。

どうも根来琴葉です。

鏡開きですね。美味い餅を食べましょう。

さてはて、今日はマカちゃんの脳内会話の話でもしましょうかね。

マカちゃんの能力の3分の1は音系の技です。技って言うの変かな。まあいいや。

1.マカちゃんはとても耳がいいです。

2.マカちゃんは魔力でマーキングができ、その魔力のマーキングを盗聴器として使えます。

3.マカちゃんはマーキングしたところから声を発せます。

つまり、今回の脳内会話は、2人に魔力のマーキングをしたことにより、会話にスムーズに入り、脳内会話を可能にしたということです。

いやはや、恐ろしいですね。

こやつは潜入しなくても潜入捜査できるみたいなもんですから。

いつどこで会話がマカちゃんに聞かれているかわからないのがとても恐ろしい。

あ、でも、マーキングの解除方法ならあります。

マーキングを魔力で上書きするんです。簡単ですね。

まあ、マカのマーキングを上書きできるほどの魔力がないと不可能なんですが。

あの人は鬼畜なので、相手のレベルじゃギリ、上書きが難しいぐらいの魔力を使ってくると思います。ウザイですね。

ということで、今回は終わりとします。

来週から、おもコレという小説とまるきみを交互に投稿する形になると思います。両者とも読んでくださったら幸いです。

それでは、おつコレ〜!

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