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☾ 09:バズっちゃった!?

「じゃ、今日からあなたは、桜井梨里杏としてこの家に住む。問題ないわね?」


 私が少し落ち着いたように見えたのか、お母さんはそう言ってくれた。私は涙を拭いながら、「うん」と答える。


「地球の環境に慣れるのは大変かもしれないけど、梨里杏はまだ若いから大丈夫でしょ。——とりあえず、バッグの中のスマホを確認してみたら? さっきから、何件も着信が入ってるみたい」


 ホテルから持ち帰ったバッグから、ブーブーと振動する音が聞こえている。バッグの中を探ると、奥底からスマホが出てきた。


「あ……梨里杏もスマホ持ってたんだ……これって、私が使っていいの?」


「うん、いいんじゃない。——アハハ、やっぱり二人は同じ顔なんだね。もう、ロック解除されてる」


 ロック解除……? 何のことかと母に尋ねると、スマホは持ち主の顔を判断して、ロックを解除をしているようだ。やはり、スマホはリクスの上位互換なのでは……?


 それはそうと、基本的にスマホは持ち主本人にしか使えないらしい。使い方が全くわからない私は、お母さんにスマホを手渡した。


「なんか、梨里杏のスマホを盗み見るようで、少し気が引けちゃうけど……まあ、今日に限っては、仕方ないよね。えーと……今、通知があったのは萌ちゃんね。——他にも沢山メッセージが届いてる。何かあったのかしら」


 萌というのは高校の時からの友人らしい。梨里杏の親友だそうだ。


「そういえばあなた、入れ替わった時はホテルにいたの? 本当ならこの萌ちゃんって子と一緒にホテルいる予定だったんだよ。——でも、一人で良かったね。一緒にいたら萌ちゃん、びっくりして腰を抜かしてたかもしれないし」


 萌は、台風とやらの影響で一緒に泊まれなかったらしい。


 って言うか、地球では女子同士、2人で泊まったりするんだ。


 私だったら、うーん……アルフィナ……?


 ないない、絶対ありえない!!

 


「あら、リクスじゃない!」


 バッグから荷物を取り出していると、お母さんが声を上げた。


「——えっ!? お母さん、リクスを知ってるの!?」


「もちろん。リクスはいつもリアノスと一緒だったもの。今は梨里杏と一緒にいるのね。また会えるなんて、思いもしなかったわ」


「これはこれは、梨奈様。大変にご無沙汰しております。わたくしめリクス、再びこの地へとやって参りました」


「——ちょっと、リクス。どうしてお母さんと知り合いだってのに、先に教えてくれなかったのよ」


「そ、それは……お二人の出会いに水を差しちゃいけないというか……なんと言いますか……私なりの気遣いでございます」


「ウフフ、相変わらずねリクスは。——それより見て、この動画。あなた、ここに来るまでにケンカしてきたの?」


 お母さんが見せてきた動画には、赤い服の男を叩きのめす私が映っていた。



***



「なるほど、そんな事があったんだ……にしても梨里杏、あなためちゃくちゃ強いじゃない。エルデリアでは格闘技をやってたの?」


「フフフ、まあね。魔法が出来ない分、人の何倍も格闘技は練習してきたから。こう見えて、エルデリア一番の女格闘家だったんだから」


「それは、凄いじゃない。——にしても、SNSでめちゃくちゃ拡散されてるよ、この動画。梨里杏が強いのはもちろん、顔も衣装も凄く可愛いって。そりゃ、ここまで拡散されたら、萌ちゃんもお友達も気付いて連絡してくるわよね」


 エ、エスエヌエス……? 私の地球での言語や情報は、お父様の時のもので止まっている。Wi-Fiって言葉の意味も、さっきリクスに教えてもらったところだ。


「とりあえず、お昼にしようか。その後は、出来るだけ早く萌ちゃんに返事してあげた方がいいかもね」


 お母さんはそう言って立ち上がると、キッチンへと向かった。

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