◆ 33:魔導書リルスの章末解説書②
私は魔導書のリルス。お久しぶりね。
——え? 私、不機嫌そうですって!?
それはそうよ! リリア様ったらモエとかいうロボットばかりと話し込んで、私をちっとも開こうとしないんですもの!
まっ、まあ……それはいいわ。
では今回も、色々と補足をしていこうかしら。
まずは、アルフィナとリリア様のスニーカーの件ね。バルクレア魔鉱交易商会とリアノス様との間で、無事契約が締結したわ。まあ、リアノス様からしたら、寝耳に水の話だったとは思うけど。
選律の儀での準備金とスニーカーでの契約金。これでセリュージュ家の台所事情はぐっと改善されたはず。リアノス様からしたら、リリア様々ってところでしょうね。
次は今進行中の、継承の巡礼。
こちらに関してもトラブルはなく、順調なようね。モエ以外とのマナトゥムとはまだ接触がなく、驚くほどに平穏そのものよ。
ん? 何故、そんな平和な世界で、攻撃魔法が必要なのかって?
二世代……いえ、そろそろ三世代前になるかしら。今でこそ統一国家となったエルデリアだけど、それまでは戦争が耐えなかったの。当時はエルデリア人同士が血を流し合っていたわ。
だけど、今は平和そのもの……
そんなご時世ってこともあって、地方によっては魔法研究が疎かになっている所も多いみたい。それはそうよね、もう戦う必要が無いんですから。
エルデリアの中心部では……言うまでもないわよね。アーシェルたちを見ても分かる通り、今も研究に余念——
「——誰と話してるの、リルス」
「リ、リリア様! ご、ごめんなさい、起こしてしまいましたか?」
「ううん、大丈夫……アルフィナに蹴飛ばされて目が覚めただけだから」
「ま、まあっ! アルフィナったら、本当に寝相が悪いんですから……!」
「——それより、ごめんね。あなたと話す時間があまり取れなくて」
「な……なにを仰るんですか、リリア様……そう言って頂けるだけで、私リルス、感無量……感無量でございます……」
「フフフ、ありがとうリルス。——じゃ、閉じるよ。また明日ね、おやすみなさい」
〈 梨里杏とリリア ⚜️二十歳の夜、二人は世界を越えた⚜️:第二章 完 〉




