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レールを敷いたようなやりとり

「あ、あのですね〜。そう、たまたま!たまたまこの辺に来てまして!!」


手を突き出してブンブンと振ってあたふたしている。

人が咄嗟に出せる挙動不審をそのまました感じだ。

私も馬鹿じゃない。


風が何かしらの下心を持っていそうなのは分かる。

けど、ズバッと指摘することは正解かと問われればそれは不正解だろう。

少なくとも人間関係とか、絆?とか、そういう目に見えないけど、確実に私と風とを繋いでいる物を断ち切りかねない。


スルーするのもいいんだけど、何だかそれは癪に障るので、少し意地悪をする。


恨むのならば暇な時間帯に来たことを恨めと思いつつ、嘘の仮面を突いてみる。


「そう。でもアンタ生活圏少しズレてない?」

「覚えてて?」


1つここにいることの違和感を言ってみると思った反応と違うものが出てきた。

もっと、「ええ?タマタマダヨー」とかしらばっくれるかと思ったのに。


何故か嬉しそうにエヘエヘと気持ち悪い笑顔になってしまった。

これには少し引く。

私の引いた顔をみて風は自分の顔をぐにぐにといじって元に戻した。


そんなんで戻るのか。


「えぇ、だって散々岐阜市岐阜市言ってんじゃん」


まるでアピールするかのように自分はここに住んでいるんだと言ってくるので何となくで風の住んでいる場所は把握していた。


実際に言ったことは無いので正確な所まではわからないけれど。


「まあ、ここ岐阜駅だしワンチャン使うか」

「そーなのよさ!」


良い言い訳が思いつかなくて目がぐるぐるとしていたので、これ以上イジめるのも悪いと思い助け舟を出すとこれみよがしにしがみついてきた。


必死すぎて変な言葉遣いになってるし。


「フフッ、なにそれ」


馬鹿らしくて笑った。

風は私が笑ったことに対して怒るでもむくれるでもなく、にへらとふにゃふにゃした笑いをしたのだった。


あんまりにも柔らかそうなそのほっぺたに思わず手が伸びて。


「にゃに?にゃにふるんでしゅか」


にょーんと伸びきった頬の状態で抗議されてしまった。抗議だけとは優しい。

私なら手が出てるのに。

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