鏡よ鏡よ鏡さん
短いです。
よろしくお願いします!
「鏡よ鏡よ鏡よ鏡さん?世界で一番美しいのは誰?」
そのように聞くのはこの国の王妃アンリ。
「はい、今のところはアンリ王妃陛下にございます」
「今のところ?」
アンリ王妃陛下のこめかみに青筋が…。淑女としてはいけません!
「はい、もうすぐ産まれる。この男の子。貧民街で産まれるのですが、非常に美しく育ちます。王妃が出産予定の姫と婚姻ということになれば、さぞや、美男美女のカップルに!そしてお子さんは非常に可愛らしいでしょうね!」
最後の一言が王妃陛下の心にクリーンヒット!
(娘の子供…つまり、孫!可愛らしい孫!私はその子のために尽力をつくすわ!!)
まずは貧民街で産まれる男の子を保護し、帝王学を施すのよ!
ゆくゆくのこの国の王になる人材なのだから。
「鏡さん!その美しい男の子は貧民街のどこで産まれるの?詳しい場所を教えて!」
「いやぁ、それにはやはり代価が必要でしょう?」
「何が望みなの?」
「とりあえず、本体をピカピカに磨いてほしい」
「なんだ、そんな事!侍女!!さぁ、この鏡の隅らか隅までピカピカにしなさい」
こうして王妃陛下は貧民街で産まれた男の子を手中に収めました。
数年後…
「リヒトお兄様!今日は庭で美しい花を見つけたの。見に行きませんか?」
「シャーリィ。ゴメンね。まだ勉強しなくちゃいけないことが残ってるんだ」
「お兄様は忙しいのね。息抜きも必要なのよ?」
「わかっているよ」
そんな兄妹は使用人の間ではイケナイ恋として語られていた。というか噂になっていた。
アンリ王妃は思う。
「リヒトとシャーリィは全く血が繋がってないから、問題ないのになんてことを!」
また数年後…
シャーリィはアンリ王妃陛下に相談する。
「私がリヒトお兄様をカッコいいとか麗しいとか思うのはいけない事でしょうか?」
「ごく自然な事でしょう?だって真実だものシャーリィも美しいし、麗しいわ。お母様はおかしいかしら?」
「そんなことはないです」
「そうよ。自信を持って!」
リヒトはアンリ王妃殿下に相談する。
「私がシャーリィを可愛いとか、愛しいと思うのはいけないことでしょうか?」
「ごく自然な事でしょう?だって真実だものリヒトも美しいし、愛しいわ。お母様はおかしいかしら?」
「そんなことはないです」
「そうよ。自信を持って!」
(どこのどいつ?二人の気持ちを邪魔するような輩は!)
鏡さん曰く社交界でリヒトとシャーリィの関係を怪しむような噂があるみたいね。小癪な!うーん、二人に真実を教えようかしら?
こうしてアンリはリヒトとシャーリィに真実を話した。
リヒトは愕然とした。当然だろう。自分は王家の血を引いていてそれで帝王学を学んでいると思っていたのだから。
でも、リヒトもシャーリィも自分の想いを素直に表現しても問題ないことに安心した。
ただ、リヒトはアンリに不信感を持ってしまった。自分はアンリを喜ばせるために、王城にいるのか、と。
リヒトとシャーリィは順調に婚約し、その2年後には結婚し、子供ももうけた。しかし、アンリがその子に会う事はできなかった。リヒトが会わせることを拒んだ。自分を利用したアンリを許せなかった。
アンリは結局待望の孫に会えずに儚くも亡くなってしまった。
国葬となり、アンリは棺を覗き込む孫にしか対面をできなかった。
リヒトとシャーリィをめぐり合わせた鏡だが、最後は燃えないゴミとして処分されることとなった。
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