番外編『なぜなのウツクシィー~言語編~』
第2章『魔獣裁判編』が始まるまで、しばらく過去編が続くので、
並行して番外編で現在の時間軸のキャラクターたちの出番を作ることにしました。
もし質問や見たいお話などあれば、感想や活動報告へのコメントでいただけると嬉しいです。
「美し過ぎる美剣士ウツクシィー、プレゼンツッッッ!
『なぜなのウツクシィー』の始まりですわ!」
「なんだ、これは……」
「よく来てくださいましたわ、ハジュン様。
この番外編では、本編で描き切れない細かな設定を、ゲストをお招きして解説をしていこうと思いますの。
というワケで、本編には繋がらない会話内容ですし、性質上、世界観に合わないメタフィクション的な言葉が飛び出ますので、苦手な方は無視してくださいまし」
「メタフィクションという言葉からして、すでに世界観に合わないしな」
「……それと、第1章が前回で完結してしばらく出番が無いのに、ワタクシは無様に気絶したままで終えたので、なんとか出番を増やしたくて……」
「本音が切実過ぎる」
「さて、では早速まいりましょう!
今回は『言語』について解説いたしますわ!」
「言語か。そう言えば、英語とドイツ語が混ざっているから気になっていたな。
例えば、『水の理』だとか『火の理』だとかは英語なのに、そのあとに続くのは『水牢』や『鉄壁』はドイツ語だろう?」
「ギアフリートの『魔勁』なども、ワタクシたちが住むイーゼンブルク国の国語『ゲルマニア語』……ハジュン様のご出身の世界で言うところの『ドイツ語』ですわね。
それには理由がありまして、『魔学』の専門用語かどうかが基準になっていますわ」
「魔学……ギアもいつか口にしていた、魔術の学問か」
「ええ。この世界では、魔術が一つの学問分野として確立しているのですが、学問として成立させたのは『エンブリテン皇国』……ハジュン様のご出身の世界でいうところの『英国』なのですわ」
「私の生きていた世界でも、イギリスはオカルト文化との繋がりが強い。
こちらの世界でもその点は同じということだな」
「ええ。ワタクシたちの世界でも、魔獣が歴史上初めて現れた国だと言われていて、勇者の始祖『ラタ』様の生誕の地でもあります。
恐らく物語の舞台になるとしても相当あとになると思いますが、たびたび話の話題にはあがるかもしれませんわね」
「魔学がエンブリテン皇国で確立したというのと、詠唱と名前で言語が食い違うことに、どんな因果関係があるんだ?」
「エンブリテン皇国の国語が『エンブルト語』……要は『英語』なのです。
ですから自然と、魔学における基礎的な用語や詠唱は英語が基本となっているのですわ」
「なるほど。私の生きていた世界で、医学用語にドイツ語由来の言葉が多いのと同じ理由か」
「どんな分野でも、その分野を発達させた国の言葉が多く採用されるのは、よくあることですわよね。
……ただ、自分で編み出した技については、この限りではございません。
大抵の魔術師は、その魔術のイメージを確立させるために、自分自身で名称付けを行うのですわ」
「私の育ての親でもあるイルザからも、技には名前をつけるよう教えられたな」
「技の名前とイメージを紐づけておけば、名前を口に出すだけで、よりハッキリと具現化できますからねぇ。
ワタクシの『讃美渦』も、自分で美々な名前を付けましたわ」
「……分かってきたぞ。
魔術師が自分でつけた名称は、その魔術師の母語。
学問的に確立した詠唱や名称は英語、ということか」
「お見事! 流石はハジュン様、ご理解が早いですわ!
『魔力強化』などもギアフリートの考えた技ではなく、魔術の基礎的な術式なので、英語になっていますわね」
「逆に『魔勁』はギア自身が考えた技なのだな。
ふふっ、あのように素晴らしい技を考えつくとは……流石、私の相棒だよ」
「えっ? 『魔勁』を考案したのはザイン王子ですわよ?
恐らく、ザイン王子に教わったのでしょう」
「なにっ……」
「素敵な技ですわよねぇ……あの方の格闘術と魔術を組み合わせる才能は国内、いいえ世界でも随一ですわ!」
「急にくだらん技に思えてきた。
何がブリッツだ、バカバカしい……一人でもブリッジでもしていろ」
「……ハジュン様、本当にザイン王子が嫌いですのね。
ま、まぁともかく、言語についての解説はこちらで終了ですわ!」
「もし気になる情報があれば、感想や活動報告へのコメントで質問や要望をもらえたら、優先的に回答するようにしよう」
「第2章『魔獣裁判』編が始まるまで、現在の時間軸を生きるワタクシたちの出番は減りますし、こういった番外編で出番を作りませんとね!
それでは皆様、またお会いしましょう。アデュ~~~♪」
「……別れの挨拶はフランス語なのだな」
本日このあと、第0章の1話を更新予定です。