丸
僕は丸が嫌いだった
角がなくつるんとした丸
丸は理想でしかないのに、皆が丸を良しとし追いかける
丸じゃなきゃダメなのだろうか
本当に心から丸を望んでいるのか
気色が悪い
僕の住むこの地球でさえ丸い
でも角はある
毎日角がどこかで生まれ角で泣く
滑稽でしかない
人間は丸を作り出せない
あまりに醜い丸に類似したそれは、美談にさえ詭弁にさえ偽善にさえなりえない
醜い丸で満足か、そんなところであきらめるのか
未来も過去も、現在でさえもひどくつめたい
もうどうでもいい
僕だけは、僕だけは違う
僕だけは丸を生み出せる
僕だけが正確な丸になれる
踏み出す勇気は意外にも持っていた。