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悪女エリザベートによる軌跡  作者: 無位無冠
貴方が私を悪女と呼ぶのなら
1/26

悪女

「王として審判を申し渡す!」


 壮年の美丈夫が玉座から立ち上がり、手に持った王笏で一人の女性を指し示す。


「ウィケッド公爵家が一子エリザベートよ。ビンゲン男爵家を襲いし主犯は逃亡中なれど、ウィケッド公爵が庶子ウィリアムの集めた証拠により、お前の関与は濃厚である! 王国に潜む無法の(ともがら)と共謀し、栄えある王国貴族に害を与えること、事実ならば王として許しがたい!」


「陛下! 何をおっしゃられますか!? あのような流言に惑わされるなど!」


 女性の隣にいる父親らしき男性が声を上げる。


「黙られよウィケッド公! 王の裁定を遮るとは、無礼にもほどがあるぞ!!」


「エイチンク伯! これが黙っていられようか。我が娘は!」


 父親と玉座の間に参集していた貴族の一人が、言い争いを始める。


 そこに、王が王笏の石突(いしづき)を床に突き立て、玉座の間に音を響かせた。それによって、二人だけでなく、今にも騒ぎ出しそうだった貴族たちが静まりかえる。


「判決は、主犯を捕らえ、全てを明らかにした後に下すものとする。それまで貴族として遇するは、温情と心得よ! しかし、非法を働くお前を、我が息子にして王太子、ラディスラウムの婚約者にしておくはふさわしくないのも事実!」


「陛下、お待ちを!」


 王の発言を再び遮ろうとする父親。そんな父親に王は視線を向け、一瞬満足気な顔を浮かべた。


「よって! 王太子ラディスラウムとエリザベートとの婚約を、破棄するものとする!」


 玉座の間の一角から歓声が上がる。


 女性、エリザベートは歓声を上げて喜ぶ面々に顔を向ける。すると、ちょうど女の手を握り、抱き寄せるラディスラウムと目があった。


「ラディスラウム殿下」


 エリザベートの呼びかけに、ラディスラウムは渋面を作る。


「わたしは、ウルストラを傷つけようとしたお前を許す気はない」


 ラディスラウムは、エリザベートに突き刺さるような険しい目つきを向ける。そして、ラディスラウムの後ろに隠れるようにしている女、ウルストラはエリザベートを恐る恐る見ていた。


「待っているがいい。ウルストラを襲った主犯を捕らえ、必ずや悪女たるお前に罰を下す」


「悪女? このわたくしが?」


「そうだ! 王国を蝕む悪女め!」

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