第ニ話 守永美春
「…守永…美春です…」
自分の名前を名乗った少女はとても可愛いらしく黒髪でショートヘアーの一歩手前ぐらいの長さだった
「おぉ…」
クラス中の人達が声をあげていた。
「えーと守永さんの席は…」
先生はなぜかこちらを向いている嫌な予感がした。
「えーと…厨二...じゃなくて…青伸森の隣だな」
「な…」
まさか…確かに俺の隣の席は昨日はなかった今日の朝は秀と喋っていたから気がつかなかった。だが今はそんなことはどうでもいい、今あの先生は俺のことを厨二病と言おうとしていた…まさか先生からもそう呼ばれているのかと考えつつ隣の席に座ろうとする少女のことを見ていた。
そして休憩時間になった。
「おい厨二病」
声をかけられた方をみるとそこにいたのは。
「お前あの子に見惚れていたよな」
なにを言ってるんだこいつは…こいつの名前は忘れたけど不良だということだけは覚えている。
「別に見惚れてないけど…」
「嘘つけあれは見惚れていただろ…いやぁ去年痛いことしか言わなかったお前が女子に興味を持つなんて俺は嬉しいぞ」
思い出した…というか忘れようとしていたやつだこいつは宇治原健太不良不良と言われているがなぜか俺には優しいやつだ。
「お前あの子に興味があるんだったらいくらでも協力するから言ってくれよ」
そういうと健太は通り過ぎて言った。
なんなんだ…あいつの事は嫌いって言うほどでも普段は優しいのだがみんなの前や授業中には俺をバカにしたりしてくる
だからいいやつなのか悪いやつなのかはわからない。
席に戻ると秀がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「おい、勇介お前〜宇治原から聞いたぞなんで親友の俺には言わないんだよ」
ほんとに俺のことに関する噂だけは広まるのが早いものだ。
「ちげ〜よバカずっと見てたのは考え事をしてたからだよ」
「えっ! お前見た瞬間に考えてたのか
一目惚れってやつか〜」
駄目だこいつ早くなんとかしないと。
「ちげ〜てよ俺が考えてたのは先生が厨二病って言おうとしていたって事だよ」
なんだこの空気と思ったのもつかの間
「あ〜そうかお前知らなかったのか〜
ブハッ駄目だ笑いがお前この学校の先生が俺にお前のプリントを届けるように言う時とか厨二病って言われてるぜ」
そういうと秀は笑っていた。俺はその言葉を聞いてため息をついていた。
「でも安心しなこのクラスの先生も学生の頃は厨二病って言われてたらしいしな」
「まじかよあの先生が」
まさか同じ被害者がいてたとは。
そんな話をしているとチャイムが鳴りクラスには一時の静寂が戻った。
俺は普段は真面目に受けているが今日は転校生に見惚れていたと言う話が授業中でも続いていた転校生…いや守永は顔色一つ変えず授業を受けていた。俺はと言うとクラス中がニヤニヤしながらこちらを見ていたので眠ることにした。
「お…....ろよ.....介」
ハッと目が覚めた。どうやらあれから2時間寝ていたらしいもうお昼の休憩に入っていた。
「あんな奴ら気にすんなよ」
「お前も混じっていたよな?」
そういうと秀は目をそらしなんの話かなとでも言いたげだった。
「それにしてもあの子不思議な子だよな」
「なにが不思議なんだ」
俺は思わず秀にそう聞いていた。
「いやさ…なんか俺たちとは何かが違うっていうか…みんなに聞いても同じような事を言ってたんだよなにか違うって」
「お前もみんなも仲間入りだな」
俺が冗談混じりでそういうと秀は真面目な顔で
「お前は何も感じなかったのか?」
真面目な顔して聞いてくる秀。
「何も感じねえよ」
「そっか」
そういうと秀は立ち上がり
「お前からも感じるよ似たようなものがまぁお前の場合は厨二病的な感じでみんな納得してるみたいだけど俺にはそうは思えない」
そう言った秀は運動場に向かって歩いていった。
最近世界を驚かす論文が発表されたそれは人が生まれた時に持っていると言われているとテレビでは言っていた。
「能力者」
隣から声がした最初は誰がそう言ったのかは分からなかったが次第に隣の席にいる守永という少女が言ったのだということに気がついた。
「何を言ってるんだ?」
思わず聞いてしまった。
「…能力者…て言ったの」
「いやだからなんでそう言ったのか言ってくれ」
俺は訳が分からなかった少女いや守永美春はなぜそんな事をいってきたのか
ただ俺は秀が感じたようにこの守永美春は俺たちと何か違うってことだけ考えていた。