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私だけのはせがわさん  作者: 蜷川二奈
第一章
1/7

プロローグ にやにやえぐち

 通話時間:5時間24分。


 満ち足りた心持ちで、スマホの画面を見つめる。カシャ。スクリーンショット撮っちゃった。浮かれてるな、私。ふふふ。


 今更、部屋の中の肌寒さに気付いて、二の腕をさすった。どうやら暖房がタイマーで切れていたらしい。季節はもう12月、毎年この季節は物理的寒さと、精神的寒さに襲われる。

 だけど、今年に限っては、その寒さでさえ、不快ではなかった。


 空っぽで寒々しかった胸の奥に、暖かい液体がドバドバと流れる。その奔流が、胃の底からじわじわと広がって、私を充足させていくのがわかる。つま先まで、ぽかぽかしている。


 「むふふーふーふーふーふっふー……♪」


 ばさり、と毛布の上に倒れて、顔をうづめる。

 そのまま国民的RPGのテーマソングを口づさみながら、スマホを胸の前に抱えて、ベッドの上を何度も転がる。ごろごろ、ごろごろ。


 もう一度、スマホの画面を覗くと、時間はもう深夜2時だった。日付は変わって、もう月曜だ。

 明日は6時半起きなのに、これはいかんぞ、と思いながらも、動悸はなかなか収まらない。むしろ、目は冴えてきていた。


 【5時間24分】

 それは私の為だけに用意された時間。他の誰でもない、私のみが許され、優先された証だった。


 ―ほんの数週間前、本当のあの人に出会ってから、私の24年間の人生はがらりと変わってしまった。いや、変えられてしまった。あの人は突然現れて、私の殻という殻を全て壊してしまったのだ。


 「はせがわ……さん」


 その名前を口にするだけで、何だかむず痒くて、でも嬉しくて……。もっともっと、認めて、承認して、満たして欲しい。

 この感情を、なんと呼ぶのか聞かれたら、それに最も近いものは恐らく。


 ・・・こんな私にでも、訪れるものなんだな。


 例えそれが、同性からもたらされたものであっても。

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