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再会
付き合い始めてから約1年。
卒業を迎えた。
同じ高校への進学も考えたが、やはりお互いのやりたいことや目標を優先して、父さんは家から近く、陸上部の充実した工業高校へ。母さんは県内でも有名な進学校で、合唱を続けることにした。
それからというもの、お互い新しい生活に慣れるのに精一杯で、ろくに連絡も取らなくなっていた。当時まだ携帯電話は普及しておらず、かといって家の電話にかけるのも気はずかしいやら緊張するやらで、次第にお互いの存在が薄れていった。
たまに会うことがあっても、ささいなことで言い合いになった。
「もうやめようよ、こんなの。」
先にそう言い出したのは母さんだった。
「そうだね。」
それきりだった。
高校時代はそれぞれの環境でそれぞれの目標に向かって充実した日々を送った。それなりに恋もした。
あっという間に3年間がすぎた。
父さんは部活での実績や積極性を高く評価され某大手自動車メーカーに就職、母さんは私立の4年制大学へ進学した。