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虎は旅する  作者: しまもよう
クナッスス王国編
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王都へ出立するまで 日記風味

出立まであと5日


 常識の詰め込みと言う疲れる作業をしたにもかかわらず俺の起床はいつも通り。配達に遅れることはなさそうだ。昨日はよく頑張った、俺の脳。


 朝早くにゼノンと合流してマチルダさんのところへ行き、依頼完了の確認をしてもらう。ミニポーションの作成の伝授に移ろうとしたが、時間からみて配達に間に合いそうもなかったので先にいつも通り配達へ。ゼノンもどうせなら俺と一緒にということになったので午後にまた工房で合流することに。配達ではコンラッドの要望を考えていつもと逆の順番で行ってみた。少々時間配分を間違えてラグールに心配されてしまった。こいつに心配されるとは。でも誰かにこう気にかけてもらえると言うのは心がほっこりする。これが嬉しいと言うことか。……当人には嬉しいなんて言わんがな。


 昼は食堂通りでとる。今日は討伐依頼を受ける気もないのでカロリー控えめと言う宣伝をしている店に入ってみた。なかなか美味しかったが周りが女性ばかりだったから大変居心地が悪かった。男どもの嫉妬の視線が痛かったな。恨むなら入る勇気が出ない己を恨め。かくいう俺も正気だったらきっと入っていなかっただろう。やっぱり疲れているのかね。


 昼食後にギルドへ報告した後、マチルダさんの工房へ向かう。朝にポーション作成の伝授にかかる時間を聞いたら覚えが良ければ早く済むとのこと。だが、調合セットの使い方からミニポーション完成までを教えることになるからかなり時間がかかるだろうとも言っていた。俺は物覚えが良いとは言えないからな。さて、どうなるだろうか。


 夜になって、何とか覚えれたが実にきつい作業だった。そのお陰でミニポが作れるようになったわけだが……精神的疲労が半端ない。だが覚えたからには利用しよう。しないと覚えることにかけた時間がもったいない。だが、この時間に一緒にやったゼノンとパーティについて話せたので良かったと言えば良かったのか。


 宿に戻ってベッドに体を投げ出すとすぐに睡魔が襲ってきた。抵抗することなく眠りへと落ちていく。そして、その夜は更けていった。




出立まであと4日


 起きると日が大分高くなっていた。すわ寝坊したかと慌てて階下へ降りていった。既に殆どの冒険者は出たのか食堂はがらんどうだった。飯抜きは流石に昼まで持ちそうにないので取り敢えず朝食を食べる。そして走ってギルドへ。


 ギルドに駆け込むのは緊急時以外控えろと言われているため少し手前から歩いていく。素知らぬ顔で依頼を受けたがまだ急いでいる雰囲気が消せていなかった様で、受付にいたアンジュさんに指摘されてしまった。ああ、恥ずかしい。


 この日は午前に配達、午後に討伐依頼を受けた。理想的な過ごし方だ。討伐の報告をするとギルド嬢から呆れの視線を向けられた。何故だ……いや、まぁ、ピギー30体は流石の俺でも狩りすぎかなぁとは思っていた。だが、言い訳をさせてもらうと、本当に途切れることなく襲ってきたんだ。そして倒していく内にピギーの巣らしきところまで行ってしまったんだからしょうがない。


 ……しょうがなかったんだ。


 嬉々として突っ込んで行ったことは秘密だ。


 そうそう、パーティについてヨシズと話した。ゼノンはヨシズと組むことに抵抗は無いそうだ。むしろ、ランクが大分離れているのに組んでもらって良いのだろうかとさえ言っていた。細々としたことはまた明日。




出立まであと3日


 今日はあいにくと雨だった。こんな日でも金欠の人達は依頼を受けに行く。俺は金はあるから泣く泣く依頼を受けに行く必要はない。そこは少し優越感がある。しかし、今受けているのは一週間続ける継続依頼だから休む訳にはいかない。手持ちにレインコートがあったのでそれを着てギルドへ向かう。黒いから傍目に見れば不審者だ。


 ギルドはガラガラだった。誰も好き好んでこんな日に依頼を受けようとはしないものだ。受付嬢も暇そうだった。こういうときにファンの人達は話に来れば良いのにな。気付いてないのだろうか。逆に宿はいつもより賑わっている。依頼を受けない分暇になった冒険者が絡む相手を求めて集まるからだろう。


 俺もここまで強く雨に降られると気が滅入ってくる。さっさと済まそうと急ぎ足で行く。配達する場所ごとに温かい飲み物や食べ物をもらった。こういった気遣いは心にしみるなぁ。


 実は配達場所は毎日少しずつ違う。今日はエレンさんの所への配達が無く、代わりになんとマチルダさんの所への配達があった。


 なんとか配達を終えると俺は皆にならって宿に引きこもった。夕方にヨシズ、ゼノンとパーティのことを話した。2日後に王都へ向かう予定だと言うことも。その結果、俺とゼノンはヨシズから装備が甘いと指摘され、ゼノンからはどうせなら依頼を受けるべきだと呆れがこもった声で言われた。リーダーって何なんだ? と考えさせられた時間だった。装備については時間がかかるかもしれないのでその日の内にラグールの所へ行って見た。出来合いのものならすぐに用意出来るが、武器は時間がかかると言っていたので明後日まとめて取りに行くことになった。金が足りなくなる予感が……。




出立まであと2日


 この日は配達依頼の最終日だった。回るついでに出立する挨拶をする。皆いなくなるのを惜しんでくれたが冒険者とは町から町へ流れていく者達のことだ。別れはいずれ来てしまう。町の人も慣れたもので引き留めることはしなかった。


 ふと余り考えたくない想像が浮かんだ。町の人は本当に俺個人を惜しんでくれたのだろうか。雑務依頼を受けてくれる便利屋(・・・)がいなくなることを惜しんだのでは……いや、まさか、な。こんな事考えるのは止そう。別れが近いから気持ちも鬱になって来ているのだろう。


 午後になって、ヨシズ、ゼノンと共にめぼしい護衛依頼を探す。幸いすぐに見つかった。ガーリックさんと言う人が出したもので、日にちもピッタリなのでこれ幸いと俺達は依頼主の元へ向かう……ことはなく、唯カウンターに受ける旨を伝えるだけで良かった。どうやら新設備のお蔭でこういった複数パーティを求めるものは依頼主のギルドカードに受注状況が表示されるようだ。そして依頼主は人数が揃ったら募集を締め切るようにギルドに伝えるか、自分で締め切りのビラを貼りに行くかするそうで、俺達は2日後の朝にギルドに来ればいいと言われた。新設備バンザイ! 俺のタイミングの良さに乾杯!


 その後俺だけ少し待つように言って受付嬢は奥へ向かった。指名は俺個人だからヨシズ、ゼノンとはそこで別れた。少しの待ち時間の後現れたのはアンさんだった。そして取り出したのは領主からの召喚状。……ああ、そんなのもあったっけ。ドスの効いた声で絶対に行くのをすっぽかすな、むしろついたその日に行けと念を押された。




出立まであと1日


 いつも通り起きて下へ降りて宿の亭主のご飯を食べる。明日でここのご飯も最後なんだよな……。ヨシズの向かいでしんみりとした気分で食べていたらカツを一切れ掻っ攫われた。ヨシズ許すまじ。食べ物の恨みはしつこいぞ。お蔭で鬱々とした気持ちは吹き飛んだが。……礼なんか言わないからな。


 今日は依頼は受けれれば受けると言う方針だ。3人の連携を確認するため、受けるなら討伐系だろう。


 ギルド前でゼノンと合流する。そして必要な物を買い揃えに商店街へ向かう。旅に必要な物と言えば何がある? 食料については燻製を作っておけばいいし、いざとなれば狩ってくると言う選択もある。……あ、調理器具が必要か。それと水が出せる魔道具も欲しいな。そんなことを話しながら俺達はまずエレンの魔道具屋へ行く。そこで簡易調理キット、水筒(魔力を流して水を出せる優れもの)を買って、商店街をぶらつきながら必要な物を集めて行った。

毒消し、虫除け、獣除け、魔物除け、疲労回復ポーション、魔力回復ポーション……。

 何か足りなく無いか? ……そうだ、テントか。寝袋も買ってない。俺達は慌ててもと来た道を戻る。


 予想以上に多くなった荷物は3人で分けて持った。俺のアイテムボックスにはテントが入っている。便利だよな、アイテムボックス。はたして、どれだけ入るのだろうか。今だ限界が来たことは無い。


 それはさておき、3人仲良く昼飯を食べたら時間はなんとも微妙な所だった。だが、俺達にはろくな時間潰しって物が無い。……結論は一択、ここは討伐依頼を受けるしか無いだろう!


 結果、日が沈むまで狩った(遊んだ)暁には、獲物は60以上に膨れ上がった。これにはギルドにいた皆が驚いて狩り尽くすなよとまで言われてしまった。……ここまではいつものことだ。だがこの後、魔獣の狩り過ぎによる市場への影響についてたっぷり一時間はアンジュさんに説教されてしまった。正座でな。あ、足が……。








 ここで書いたことも、もっとのんびりと続けようと思ったのですが、作者的には次のステージに行きたいと思ったのでこの様にざっくりと書きました。次はまたのんびりモードです。

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