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虎は旅する  作者: しまもよう
クナッスス王国編
14/459

ドルメン13 採取依頼も甘くない

今回は気分が乗っていって気付いたら予定していた3000字を大分超えていました。





 

「……取り敢えず、ゼノン。簡単にでいいから戦闘法を教えてくれるか? 保留とか言ってられない」


「うん……。何て言えばいいのか分からないんだけど、あえて言うなら遊撃?」


 それはまた、曖昧な……。どんな戦闘スタイルなんだか見当もつかないぞ。それに、遊撃なら俺も同じだ。バランスが悪くなることを念頭に置いておくか。


「質問を変える。どうやってピギーやカウを狩っている? 教会でソロで倒せると言っていたよな」


「えっと、魔獣を見つけたら気配を消して背後からクリティカル狙いで急所を攻撃するんだよ。ベストな形としては一撃必殺、もし急所が外れて倒しきれなかったらヒット&アウェイかな」


 ……暗殺者か、何かか? 倒しきれなかったらヒット&アウェイに持っていくということは一撃一撃には大した攻撃力は無さそうだが、例え時間がかかったとしても倒せるならそれなりの実力だろうな。

(※ソロで倒せるだけでそれなりどころではない実力です)


「仮に、俺が相手を引きつけていて、その隙に相手の背後から攻撃して一撃必殺は狙えるか?」


「ああ、なるほど! 出来るよ! 始めの数回くらいは慣らしが必要だけどそれさえ済めば多分普通にクリティカルを狙えると思うよ」


「なら、戦闘についてはそれで行こう」


 話がまとまった所で、俺たちはマチルダさんの方を向く。傷塞草(しょうそくそう)魔復草(まふくそう)の在処について詳しく教えてもらうためだ。


「……終わったかい。あたしが欲しい薬草はどちらも森の魔力が濃い場所に自生しているはずだ。それの品質は森の奥になればなるほど高くなっていく。高めの品質だったら報酬に上乗せしよう。草の特徴としては傷塞草は魔力をあてるとその緑をより濃くする。魔復草は魔力にあたると紫になる。魔力をあてた時色が変わっても、時間が経てば戻るからそのままとってきておくれ。期限は明日の昼まで。頼んだよ」


「「分かった(よ)」」


 俺とゼノンはマチルダさんの工房の外に出た。早速森へ向かおうとすると、ジニアが慌てて追いかけてきた。


「シルヴァー、ゼノン、言い忘れていた事が有ったって。魔力をあてると甘い匂いを発する草があるかもしれないけど、決して抜くなと言うことと、あと、時間は8時までだからね!」


 最後の重要そうな注意を受け取って今度こそ俺たちは町の門の方へ向かった。



 *******



「お! シルヴァーじゃないか。昨日はご苦労さん。気をつけて行けよ」


 妙に馴れ馴れしい門番だと思ったら昨日ガードンを倒す前にいい笑顔で頑張れよと言ってきたあの門番だった。


「兄ちゃん、昨日何やったのさ」


 ゼノンに聞かれてしまった。というか、知っていたから黙っていたんじゃなかったんだな……知ったかぶりか、おい。


「あー、まぁ、ちょっと対人戦をやった後ピギー14体倒したな」


「……ピギー14体……?」


 ああ、やはりそこに食いつくか。ヨシズが頭を抱えるくらいだしなぁ。


「そう、14体」


「ちなみに兄ちゃん、何ランク?」


「Dランクだぞ」


 そう返すとゼノンは眉間を揉みほぐし出す。


「強いだろうと思ったけどこれは予想外。……一体どうしたらそんなに実力に合わないランクでいられるの。常識をどこかに落としてきたんじゃない」


「それを言うな……。多分今夜あたり他の奴らに常識を詰め込まれる羽目になりそうなんだから……。俺の中の常識はだいぶ昔のものらしい。それで納得しておいてくれ」


「ふーん。まぁ、俺も人のことは言えないけどね。あ、そろそろだよ。ピギーかカウで慣らしをして行っていいよね」


「もとからそのつもりだろう。とりあえず釣ってこよう」


 そう言ってシルヴァーは草むらに潜る。ゼノンも共に潜ったところまでは確認出来ていたのだが、潜った途端、その気配は掻き消えたと言うのがしっくりくるだろうか。ほとんど感じられなくなった。

 一瞬混乱したが、ゼノンの戦闘法を考えればこの様に、ほとんど気配をなくせることにも納得がいく。俺はそのまま歩き続ける。


 ほどなくして数頭のピギーがやってきた。俺が確実に相手出来るのは2体である。今やってきたのは、


 3体か……。ちょっとまずいな。だが、やるしかない!


 来ているのは前方から。シルヴァーは取り敢えず一番右端の物の進路を見定めてぶつかる寸前に横へ回り込み蹴りつける。横からの衝撃にピギーはまとめて体勢を崩す。その瞬間、ゼノンが草むらから飛び出し、手に持った武器を振るう。それはしっかりとピギーの急所に刺さった。恐ろしい切れ味だ。


 ゼノンが飛び出すと同時にシルヴァーもまた自分から一番近い物に攻撃していた。真ん中にいたのには二人で追撃。ピギー3体という、普通なら即座に逃げ出す様な相手を二人は1分もかからずに倒してしまった。


「ふう……。こんなものか。だが、俺は盾じゃあないからキツイな」


「そうかも。俺達は両方とも攻撃を得意とするからね。さっきのあれが森で通じればいいけれど」


 俺が零したキツイと言う言葉にゼノンも首肯する。

 その後、数回同じように対戦して、連携というものになってきた。一度、5体来たピギーの内1体を逃してしまい、少しした後仲間を連れて戻って来たときはまだ他のピギーを相手していたので流石に焦った。



 そんなこんなで森の中。入り口の方では傷塞草どころか魔復草すら見つからなかったため、どんどん奥へと入っていったのだが、日の光が届かない所まで入り込んでしまったようだ。今ではもう入り口付近で襲ってきたエイプさえも見られない。ここら辺で襲ってくるのは……


 ドスッ


 どでかい針で刺そうとしてくる巨大蜂だったり、


 ザァァア…ズズッ


 頭の葉っぱを揺らして、足……じゃない、根を引き抜いてこちらへ向かってくるトレントだったり、


 キィキィ


 日が届かないからか、異常に元気な吸血コウモリだったりする。

 魔物化した植物はトレントだけではなく、


 シュパンっ


 スッ…ドガンッ


 蔓を鞭の様に使ってこちらを攻撃する食虫植物……これだともはや食人植物? が、いたり、素早い身のこなしに鋭く重い蹴りなどの技を叩き込んでくる白い身に緑の葉っぱの魔物などもいる。


 ……最後の奴、何処でそんな技を覚えてくるんだよ。弟子入りしたくなるほど綺麗な型だった。魔物なのにな……

(※シルヴァーは今のところ格闘戦をメインとしている)


 ここまで頭のネジが飛んだ考えになったのも今言った魔獣、魔物が立て続けに襲って来たからである。


 まず、背後から巨大蜂が襲って来て、俺が避ける。蜂の針は進行方向の木に刺さり、動けなくなっていたのでこれ幸いにと仕留めると目の前の木がトレントで、蜂の針が刺さったのが俺からの攻撃だとみなしたのかこちらをロックオン。自身の根を引き抜いたところでゼノンの攻撃が当たりノックアウト(トレントの弱点は根っこ)。間髪を入れずに吸血コウモリが数体襲って来たのでゼノンと半々で仕留めて、一息つこうとした時右手から蔓の鞭が飛び出して来た。


 この辺りで俺、ゼノン共にキレた。しかし近付けないので遠方から魔法で攻撃する。森なので、火属性は使えない。スカッとするのだが。


「【アイスニードル】」


「【ウィンドエッジ】」


 二人共攻撃性の高いものを選んだので攻撃してきた食人植物は見るも無惨な姿になり、絶命した。


 やっと一息……つけなかった。


 僅かに攻撃性のある気配を読み取ったと思ったら後ろから何かがすごい勢いで俺にぶつかってきた。


「ぐっ……ぶっ」


 初めの一撃(回し蹴り)で体勢を崩され、二撃目(かかと落とし)で地面に向けて倒れるように攻撃された。しかし、それで無様に倒れるような俺ではない。何とか踏ん張り、応戦する。正体は白い身に緑の葉っぱの魔物だった。大根か? そしてそれは一秒程に何手もの攻撃を繰り出してきた。ただの殴る蹴るだけではなく、アッパーや二段蹴りなんてものも飛んできた。


 なんとか退けた後先程の魔物について考える。魔物の格闘師範とか……笑えない。惚れ惚れするコンボだな。

 ……ぜひ弟子に! (←いまココ)




 スパァン!


 突如いい音が響き渡る。その原因はゼノンだ。


「……っってぇ……。力入りすぎだ、ゼノン」


「あ……ごめん。つい癖で」


 ゼノンの手にあるのはハリセンである。それが目に入ったシルヴァーは思わず問う。


「何処に入れてあったんだ、こんなもの……」


「シスターが去年の誕生日にくれたんだ。『人生、いついかなる時でも突っ込める様に持っていなさい』 って」


「シスターさん……。ツッコミどころ満載の台詞だな」


「まぁ、それは分かっていたんだけど。でも、今回みたいな時は役に立つよね」


「そうかもな……(正気に戻してもらったから強く言えない……)。 それはそうと、薬草を探すぞ」


 そうして、魔力を放ってみる。すると……辺り一面が緑と紫に色付いた。それは色からして毒々しい光景のはずなのに、どことなく神秘的である。


「「キレイだ……」」


 思わず見とれてしまう。傷塞草も魔復草も見つかりやすいものではない。それらの群生地ともなれば、一生見ることが出来ないほどの稀少な場所であり、魔力に反応して色付いたこの光景も恐らく二度と見ることは出来ないだろう。


 少し色が薄まって来てようやく採取のことを思い出した。ゼノンも同じだった様だ。俺達は互いに目を合わせない様にして薬草をとった。あんなに長い時間周りを警戒せずに意識を飛ばしていたというか、気を抜いていたのは冒険者としての名折れだし、自分が情けなくて気まずくなるんだよ……。


「もう、これくらいでいいだろう」


 採取の時間はいい感じに俺達の頭を冷やした。もう普通に話せる。


「俺もそう思う。でも、またあの魔物と戦わなきゃならないかもしれないんだよね……」


 そうだった。あの襲撃コンボはもう嫌だ。何とかして回避できないかなぁ。


 そう思ったのがフラグだったのかその後、帰路の途中では行きより多くの魔物と戦う羽目になった。素材は嬉しいが、立て続けにかかって来んな!




ちょっとネタバレメモ


2、3話後に書くつもりですが、初登場なので。


巨大蜂 (???)

イメージは皆様の身近な蜂を思い浮かべて頂き、それを人の頭ほどに拡大した姿。

蜂なので巣はあるし、女王蜂もいます。女王蜂は会ったら死を覚悟せよと言われるほどの難敵。噂では成人男性の腰ほどもあるとか、ないとか……。討伐証明部位は針。毒の確認をしてから取る。


トレント

普段は木の様に動かない。近寄って来た魔物を食べて自身の魔力へと変換する。植物らしく、光合成での栄養摂取も可。根っこを引き抜いて移動可能。トレントは木材としての需要が高いため、討伐証明部位は定められていない。


吸血コウモリ (???)

森の奥深くや洞窟の中に住む。血を持つ生物なら何でも襲い、血から魔力を得る。また、蜂の蜜など魔力を含む物も狙う。討伐証明部位は牙一対。


食虫植物 (???)

自分の蔓を鞭として使い、攻撃する。時にはその蔓で人を引き込み、食べることがある。討伐証明部位は背後にある蜜袋。


白い身に緑の葉っぱの魔物 (???)

何のイメージで書いたものだと思いますか?日本人なら誰もが知っているであろう野菜(・・)がモチーフです。討伐証明部位の指定なし。ちなみに普通に食べれます。



トレント以外固有名を考えてなかったりw






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