2
俺、滝井 真は誰が見ても絶賛するほどのイケメンだ。
この美貌は自他共に認めている。
「えっ、お前また振られたのかよ。確かまだ付き合って1ヶ月もたってないだろ?」
「いや、今回の子は続いたほうだよ。というかさ、俺のどこに飽きる要素があるわけ?世の中の女の子は厳しいねぇ。」
帰り道。友人の拓人と今日別れた彼女についての愚痴を言っていた。
「あの子さ、男を見る目がないんじゃない?俺よりかっこいい人なんて、この学校にいないでしょ。」
「…。」
「なにさ拓人。」
「いや、そんなんじゃすぐ飽きられるなって思って。」
「はぁ!?」
あんまり気にするなと言って、俺の肩をポンと叩いた。
なにこのドンマイみたいなの。
「お前、顔だけはいいんだから、ちゃんと自信持てよ。」
「フォローになってない!」
そんなくだらないやり取りをしていると、はたと気がついたように拓人はバッグをあさりだした。
「なにしてるの?」「折り畳み傘だしてんの。今日雨ふるって天気予報でいってたからさ。天候も怪しくなってきたし。」
「えぇ!?俺、傘なんて持ってないんだけど!」
「天候予報ぐらいちゃんと見ろよな…。」
「とにかく降ってくる前に濡れないところ行こうよ!あ、あそこのホテルのロビーに居させてもらおう!」
「はぁ…。」
三分後、予想通りに土砂降りの雨がふってきた。
「いやー、建物の中入れてよかったね。」
「俺は傘あるから入らなくてもよかったんだけどな。」
ホテルの係員さんに事情を説明すると、すんなりと雨宿りのOKをもらえた。
呆れた朝食の拓人と、こうしてロビーの椅子に座っている。
「つか、このあとどうするんだよ。雨が夜中まで止まない可能性だってあるんだぜ?」
「あ、そうか。」
「考えてなかったのかよ…。俺、宿題多いからもう帰っていい?」
「だめっ!絶対だめだから!俺を置いてくなんてひどい真似しないでよ!」
「お前の自業自得だろうが!本当にもう帰るからなっ!」
見捨てないでと叫んでいる俺を完全スルー。拓人は係員に礼を言うと、スタスタとホテルを出ていく。
そんな殺生な。