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名無しの底辺は異世界で成り上がる  作者: ポラロイドフラッシュ
第0章 白髪さんと俺
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プロローグ5

「…うんうん。なるほどね、分かった分かった了解しましたあい承りました」


白髪さんはティーカップに残ったお茶を一気に飲み干してから、もう一度俺を見つめた。

お、色々吹っ切れた顔してるねあんた。


「キミさ~、異世界転生しちゃいなよ」


「御意」


つい反射的に了解しちまったよ。おいまじかよ異世界転生ってあれだよな、剣と魔法の世界でチート俺TUEEEEEEEE!!なあれだよな?


「うんうん。そうだね、キミの思ってる通りの物だよ。キミが悲劇的な人生を送ってた世界とは別にボクが管理している世界があってね。その世界の文明は科学ではなく魔法によって栄えているんだ。当然魔物もいるし冒険者もいて、ギルドだってあるよ!ボクはその世界の管理者だからね!その権限でキミをそこに転生させてあげる事が出来るんだ。もちろんチートだってあげちゃうかも!」


…おいおいまじかよそりゃあ。


「白髪さん…あんたすげえよ、まごうことなき神だよ。その上美少女で小っちゃくて声も可愛いいボクっ娘とかもう非の打ち所がないよ。ストーカーだけど」


「うんうん。もっと褒めてくれてもいいのだよ?」


白髪さんは少し顔を赤くしながら、ふふんと照れ隠しか鼻を鳴らした。ストーカーは聞こえなかったらしい。

しかしチートもくれんのかよ…これはわたくし、俄然みなぎって参りましたよ。

俺がこれから自分に訪れるであろうエキサイティンかつバイオレンスかつハッピーな生活に胸を高鳴らせていると、白髪さんが声をあげた。


「あ、でもね?もちろんボクからもキミに何かしらの能力はあげるんだけど、実はキミって元々チートっぽい能力持ってるんだよね」


まぁその能力もボクありきっちゃボクありきな能力なんだけど、と白髪さんは笑った。

ああ、もしかして。


「それって俺がここに来たとき白髪さんが言ってた、魂が順応どうのこうのみたいな話に関係してたり?」


どうもここに来て俺はしばらくは妙な感じだったからな。少ししたらまた元の俺に戻ったが。

その時に白髪さんが言ってた、流石とか魂の順応がどうとかって言葉通りに考えれば俺の魂がなんかしら特殊な代物って事は予想できる。ここは言わば神様のプライヴェートルームだからね。それなりの魂じゃないとまともに活動も出来ないんじゃないかしら。

俺がそう考えていると白髪さんは両手を合わせるように打ち、ご名答と言ってにっこりと笑った。


「うんうん。そうだよ、察しが良すぎて白髪さんも脱帽だね!ざっくりと言っちゃうとね?キミの持ってる魂は他の生物に備わっているソレとは根本的な役割がまるで違うんだ」


「役割?魂に役割なんてあるの?」


んんwwwwwwwww俺の魂は特殊な役割を持てるようですぞwwwwwwwwwwペヤッwwwwwwwwwww


「何さその喋り方…」


「んんwwwwwwwwロジカル論法ですぞ!wwwwwwwwぺヤッwwwwwww」


「うんうん。まあいいや、まず魂は輪廻するっていう事は知ってるよね」


「何となくは。死んでここに来るまでは一切信じていなかったけど」


俺は自分で見て感じて味わった物以外信じない主義だからな。

そんな俺の様子に白髪さんは軽く頷いた。


「何となく知ってれば大丈夫だよ。どのみち詳しい原理は私もよく知らな…くはないけど!うんうんここでは大雑把に話した方がキミも理解しやすいと思うからそうするよ」


こほん、と一つ咳払いをしてから、白髪さんはゆっくりと話し始めた。


「魂ってモノは大きく分けて二種類あるんだ。一つは世界を繁栄させる為のモノ、もう一つは世界を記録する為のモノだ。一つ目の世界を繁栄させる為の魂ってのはキミにも分かりやすいんじゃないかな。生物がいないと文明も技術も何も進歩しないからね。世界の中に生きる全ての生物として輪廻転生を交代交代に繰り返しながら、その世界をより良い方向に脈々と循環させていくのがその主な役割ってとこだね」


そこで白髪さんはティーカップを手に取ろうとするが、すぐに自分がさっき飲み干してしまった事を思い出したみたいだ。残念そうにティーカップから手を引いて、続きを話し始める。


「そして二つ目の世界を記録する為の魂の方。キミの魂はこっちだね。その魂は確かに他の魂と同じように輪廻を繰り返しはするんだけど、魂の質が他の魂とは桁外れに高いんだ」


魂の質?


「うんうん。魂もピンきりでね、情報を多く蓄積していられるモノと大して蓄積出来ないモノまで様々なのさ。情報を蓄積できる魂はその分輪廻する際に活動しやすいし、逆に蓄積できないものはその活動の範囲は狭くなっちゃうんだね」


「つまり、犬くらいにしかなれない魂は輪廻してもずっと犬、その世界にひたすら犬としてアプローチしていくしかないって事か」


「うんうん。実はそうなんだ。でも大は小を兼ねるっていうのかな…逆に英雄になれる魂はゾウリムシにだってなれちゃうのさ」


「だろうな。じゃなきゃあんな底辺を爆走していた俺の魂の質が桁外れなわけがない。つまり魂にはそれぞれ優劣がある。そして魂はそれぞれその能力の中で更に自身にリミッターを課す訳だ」


俺がそう言うと、白髪さんは満足そうに頷いた。


「そう。生前のキミの魂はリミッターによって制限されていたんだ。今回の制限は今までのキミの魂の輪廻の中でも史上類をみないレベルに低かったけどね。キミの魂の質を考えると天文学的確率だったんじゃないかな?いや逆に凄いよ」


全然嬉しくないがな。


「うんうん。つまりキミの魂はあらゆるモノに順応できるって事だよ。これは英雄からゾウリムシまで様々なモノの情報を蓄積することが出来るという事なんだ」


「なるほど。だから記録の為の魂ね」


つまり俺のこの魂は、神様がその世界を分かりやすく分析するのに都合の良いダイジェストって訳か。


「うんうん。その通り。キミは本当に察しが良くていいね!そして始めの話に戻るけど、ボクの世界は最近…といっても数千年前にね?出来たばっかりの世界でまだ記録用の魂が完成してないんだ。そこで優秀な魂であるキミをそのボクの世界にヘッドハンティングしようって訳なんだよ!」


「前から目をつけていたってのはそういう訳なんですね」


数千年間も俺じゃない俺も含めてずっと監視してきたんだな。

どうせあなたも俺の魂だけが目当てなんでしょ!酷い!

俺がそんな事を思っていると、白髪さんは少し困った様に笑った。


「…えっとね?ボクにとってキミの魂が魅力的な事は確かなんだけどね?…不思議ではあるけど今回のキミが、ボクは今までで一番気に入っているんだ。英雄になったキミ、王様になったキミ、絶世の美男になったキミ、本当にどのキミも非の打ち所がなかったんだけど、そんな今までの色んなキミの中で、ボクがこんな気持ちになったのはキミが本当に初めてだったんだ。今回のキミだったからボクはキミをこんなに大好きになったんだ。そこだけキミには信じて欲しいな…」


「あ、ごめん鮫の事考えてて聞いてなかった」


「ボクの大切な思いが鮫に負けた!!」


「ごめんごめん、嘘だって。ちゃんと聞いてたって。鮫を利用した照れ隠しだって」


「いや確かにキミはボクが話してる最中に鮫の事ばっか考えてたよ!なんだよ鮫を利用した照れ隠しって!ボクに嘘は通じないぞ!」


ちっ…ばれたか。

白髪さんはため息をついた。


「全く…だからね、キミがボクの世界に転生する際そこにリミッターを課さないで転生させてあげるって話なんだ。そうすればキミはキミの魂の限界が許すまで最強の生物になれるって訳だよ」


「へー。それって具体的にどれくらい凄い存在になれるんですかね?」


素手でちゃぶ台を4つに引き裂けるくらいになれるのかな?


「それは…どうだろう。実は私にもキミの魂の限界はまるで見当もつかないんだよね…でも一つ確かな事は、キミをどうにか出来る存在はボクの世界には空前絶後現れないって事だね。成長しきってしまえばキミは掠り傷さえほとんどまともにできる事はなくなると思うよ」


「成長しきるまでは掠り傷もできると」


これはママンと親父に箱入りにして貰わねばね。


「そこは我慢してほしいな。ボクだって魂のリミッターを外す事は出来ても、流石にその仕組み自体を組み替える事は出来ないよ。魂は経験を重ねる事で強くなっていくんだ。強くてニューゲームはゲームの中だけの話だね。あ、記憶の継承くらいならボクにも出来るから安心していいよ。それにキミがキミだから子供の頃から相当規格外ではあると思うし」


「あい理解した。で、白髪さんからはどんなチートを貰えるんですかね」


俺がそういうと、白髪さんは頬杖をついて何かを考えるように悩ましげに首を傾げた。


「うんうん。それなんだけどねぇ。多分もうほとんどのチートはリミッター解除だけで生まれながらに身についちゃってると思うんだよ。だから成長を促進させるチートは与えようと思ってる。それと自分の好きな風に成長していくためのステータス操作と自由にスキルが取得できる能力、あとは前の記憶が邪魔になって大変だろうから言語の取得でしょ?ボクといつでもやり取り出来る力と…あとは…うーん創造の力とかどうかな?」


お、今なんか良さ気なのが聞こえたぞ。


「創造の力っていうのは、色んな法則を無視して自分のイメージだけでどんなモノでも作り出す事が可能ですよーみたいなあれか?」


「なんでもっていう訳じゃないんだけど…ボクの与える創造の力じゃ流石に魂は作れないよ。あとその世界に存在しない技術を使った物も無理だね。科学を用いた物はあらかた創造できないと思っていいよ」


十分じゃないか…いただきましょうその力。


「うんうん。了解したよ。あとは転生する種族と家柄だけど、種族は人間の男性でいいんだよね?一応獣人とかエルフとか魔族とかあるけど」


「うーん…魔族も捨てがたいけどやっぱり人間かな?男の子でお願いします」


「うんうん。それでね?家柄なんだけど、これは悪いけどランダムなんだ。ごめんね」


「いいさいいさ。何処に生まれようが力さえあればなんとかなるさね」


そうそう変な所には生まれんだろうし。


「うんうん!じゃあこんなところだね!」


白髪さんがにっこりと笑った。

やれやれ、これから俺の異世界生活が始まるのかー。









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