一緒にご飯を食べている訳だが
「ところでルッカさん。例の件はどうなりましたか?」
「もぐもぐ…んぐ、今の所は特に問題は起こってないもぐもぐ。もぐ、もぐもぐ…ごっくん、東スラムの連中には既に了承を貰ったもぐ」
ルッカは物凄い勢いで料理を口にしながら答えた。無表情に頬袋を膨らませている。
貰ったもぐって…モー●リかなアナタは。きゃわわ。
その愛らしいルッカの姿を見て、思わず俺はニヤニヤしそうになってしまう。
でも今は真面目な話をしているのだ。俺はニヤつきそうになるのを堪えながら、わざと済ました顔を作る様に意識した。
「…気持ち悪い顔で私を見ないでくれないか?ご飯が不味くなる」
あれ、ばれちゃってるよ。
ルッカは、じめー…とした視線を俺に向けた後、遂に一度箸を止めてから、気を取り直した様に話しを続けた。
「西区のリーダーはこちらからの食料、衣服、その他の物資を定期的に提供してくれるのならばお前に付き従うと言った。とりあえず20人の一ヶ月分を寄越せとの事だ」
うんうんよろしいよろしいよ。
「そうですか。全く問題ないですね、了解しました。物は明日までに用意しておきましょう」
俺は満足にそう言った。
確かにエドガーを俺が殺し、俺がこのスラムのボスにはなったのだが、その認識がまだスラム全域に届いてはいないのだ。スラム全体は今俺たちが住んでいるこの西スラムともう一つ、こことは逆側の東スラムの二つで構成されているらしい。元々エドガーはこの西スラムを主な根城にしていたとの事だ。だから東スラム子供達も一応はエドガーをスラム全体の親玉としてそれなりには畏怖はしていた様だが、西スラムの子供達ほどは恐れていなかったらしい。
そんな中、ぽっと出の俺が急にエドガーを殺して新たなスラムのボスになると言っても、エドガーへの畏怖が少ない以上なかなか素直に納得出来ない様で、ただいま絶賛交渉中なのである。やはりボスになった以上スラムの全域を支配したいからね。そこでルッカには向こうとの交渉役を任せている。俺が直接行って手っ取り早くボコって力で屈服しても別に良かったのだが、力による支配だけでは遠からず破綻してしまうだろうし、何よりこれからの俺の為にならない。俺はこれから様々なモノを支配していくつもりなのだ。中には力だけでは支配出来ない対象も出てくるだろう。これはその時の為の予行練習でもあるのだ。
ルッカは東スラムの方でもその実力や容姿のおかげで、相当名が知れているらしいので、俺が交渉に適任だと判断してそれをやって貰っている。
俺は続けて口を開いた。
「なのでまた苦労をかけますが、ルッカさんは明日にでも物資を持って再度東スラムに出向いてく下さい。大荷物になりますから窃盗に対する備えとしてもルッカさんがやはり適任でしょう。何人か人員も都合しておきますのでどうかお願いします」
「やれやれ、交渉から帰ってきたばかりだと言うのにな。分かった。明日にでもまた東スラムに出向くとするさ」
ルッカは溜息を吐いてから、その小さな肩を竦めてみせた。
してから今度は少し呆れた様な顔をすると、
「それにしてもお前のその力には常々頭が痛くなるな。何でも、いくらでも、無から自分の望んだ物を作ってしまうなんてな。規格外にも程がある」
と、言ってから殊更大きく肩を竦めてみせた。
ふひひ、さーせん。
ルッカには俺の創造の力について包み隠さず話している。あとノッポとチビにも話しておいた。こいつらとは俺の勘によると多分長い付き合いになるだろうからね。特にルッカとノッポは俺の将来の嫁候補でもあるからな。隠し事は良くないよねうん。
「何でもは作れないよ。作れるものだけ」
俺はどや顔でそう言った。
「ふむ。お前のその力も万能ではないのか。これはいい情報を聞いた」
ニヤリと、ルッカは口元を歪めた。
おおう、何とも嬉しそうかつ邪悪な笑みだ。
ちょっと弱みを見せればすぐこれだ、この子はどんだけ俺を殺したいんでしょうね全く。俺は思わず溜息を吐いた。
「あのですね、ルッカさん。アナタからの熱烈なアプローチはとても嬉しいのですが、そろそろ軽く食傷気味と言いますか…いい加減私を殺そうとするのは諦めてくれませんかね」
「それは出来ない相談だ。お前はエドガーを殺したんだからな。エドガーを殺したお前を私はどうしても殺さなくてはいけない。悪いがな」
全く、何度言ってもこれだもの。やれやれだぜ。
ルッカは続けた。
「アイツは私が殺さなきゃいけなかった。そうしなければいけない理由があった。しかしお前がアイツを殺してしまった。ならば私はアイツを殺したお前を殺さなければいけない。そうしなければ意味がないんだ」
そう話している内に、ルッカの目からどんどん光が失われていく。レイプ目おK。
この様子から何やら深い訳がありそうではあるが、詳しい事はまだ何も教えてくれないんだよね。まぁどうでもいいけどね。
「そうですか。ならもう好きにして下さいな。まぁ私も大人しく殺されてはあげませんけどね」
だって私って赤ちゃんですから、と俺はルッカに向かって不敵に笑って見せた。
「ふふ…悪いな…」
ルッカはそう言いながら自嘲的に笑い、顔を伏せた。
なんか一気にお気に入りと総合評価上がったなと思っていたら、なんか日間ランキングに食い込んでるみたいですこの作品。こんな事が起こるのかと、超常現象を初めて目の当たりにした作者です。
感想や評価やコメントも死ぬほどお待ちしていたりするので、どうか気軽に送ってやって下さい。
これからもご愛読して頂かれば幸いです。




