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名無しの底辺は異世界で成り上がる  作者: ポラロイドフラッシュ
第一章 ~乳児期~ スラム街の赤さん
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アジトに乗り込んだ訳だが

「ここがあの女のハウスね!」


「…いえ、赤さん、ボスは男なんですけど…」


そうなのか。しょーもな。というか俺、異世界来てからまだ女の子に会ってないんだけど。これってどーいう訳?まぁいいや。

そんなこったパンナコッタで俺はノッポとチビに案内されるがままに行き着いた非常にボロっちい建物の前で、腕を組んでふんふんと意気込んでいましたとさ。

ここが例の暴力ボスとその一派が根城にしているアジトらしい。


「赤さん…やっぱり止めておいた方がいいっすよ…」


ノッポは青ざめた顔をしながら消え入りそうな声でそう言った。

見ると、チビも今にもちびりそうな表情をしている。

俺はそんな二人を鼻で笑った。ぷぷぷ。


「なーにを言いますかお前たち。ここまで来てそれはないでしょう。ここに来るまでのあの勢いはどうしたと言うのです」


やれ赤さんに比べたらあんなデクの坊はゴミ虫だ。

やれ赤さんにかかったらあんなゴミ虫瞬殺だって。

そう息巻いていたではないかお前たちかまいたち。


「だって…よく考えたら俺たち赤さんがファミチキ出すとこしか見てないっす…」


「うん…よく考えなくても赤さんにどうにか出来る相手じゃないですよ…だって赤さん、赤ちゃんじゃないですか。ボス19歳ですよ」


「それに多分今ここにはボスの他に何十人も手下がいるっす…」


「アジトですから武器とかもたくさんありますし…」


「こっちは俺とチビと赤さんだけ…」


「俺とノッポは丸腰…赤さんに至ってはフルチンじゃないですか…」



「「やっぱ無理っすよ…」ですよ…」


お前ら声からどんどん覇気がなくなっていくね。

でーじょーぶだっつーの全く。だって俺だぜ?


「安心して下さい。私の戦闘力は53万です。もちろん本気では戦いませんがね」


「戦闘力ってなんすか…あとせめて本気で戦ってほしいっす。全然安心出来ないっす…」


ええい、男が女々しい事をグチグチと。黙って俺についてこい!

俺は早く俺TUEEEEEしたいんだ。


「行きますよ!ザー●ンさん!ド●リアさん!」


それ俺たちの事ですかーという二人を無視して俺は遂にアジトの扉を開けた。というかぶち破った。

木製の扉の破片が大げさな音を立てながら、アジト内にぶちまけられた。

さてさて、敵勢力の数はいかほどですかね…ってそんなにいないな。

精々30人ってとこか。破られた扉の先に立っていた俺に、有象無象のガキ共の視線が一斉に刺さった。その視線の全部が驚愕に見開かれている。そんなに見ちゃいやん。


「やぁやぁみなさん初めまして。そしてさようなら。今日がアナタ達の命日となりました」


俺はそう言うや否や手始めに空間魔法を使って、一人の子供の背後その空中に転移する。宙にいるまま体を捻る様にして、その後頭部へと手刀を叩き込んでやった。

あっ、こいつらは後で自分の駒として再利用する予定なのでもちろん手加減はしてるがねあぁでも当然ある程度の威力は込めてるからね、子供は一発で気を失ってしまいその場に倒れこんでしまった。


「「「「「ッ!!」」」」」


瞬間、身の危険を感じたのかチルドレン達は一斉に俺に襲い掛かってきた。子供達の目は俺を赤子だとは見ていない。完全に敵として見ていた。いいねいいね。お前達のその意気込みや良しだ。


目の前に拳が迫ってくる。かわす。転移、殴る。

転移、蹴る、かわす、殴る、蹴る、転移、転移、殴る。

転移、蹴る、かわす、ついでに蹴る、転移、殴る、殴る。


うっは、超楽しいこれ。疾風怒濤に次々と攻撃を畳み掛けてくる俺を見て、子供達はようやくその異常性に気付いたようだ。


「なんなんだよこのガキ!どうやって飛び回ってやがるんだ!?」


「駄目だよ!こっちの攻撃が全然当たらないよ!」


「魔法か!?こいつが魔法使いだって!?こんなガキが!?…ぐぁ!」


そうです、魔法なんですよこれ。そいそいそい。

…あぁ、でもやっぱり広範囲の攻撃魔法も取っときゃよかった。

これ楽しいけど凄い大変。とか考えてたら…


「…ッ!勝機!」


一人のガキに何か棒みたいなので頭を思いっきり殴られた。

うわ、聞いてられないような音立てて盛大にぶち割れちゃったよ。

…いや棒がね?


「な!?ななな!?」


殴った子供が俺と自分が手にしている棒だった物を交互に見ながら声を失っている。あ、女の子だ。しかも結構かわいい。

しかしキミ、今の殺すつもりで殴っただろ絶対。俺じゃなかったら死んでたっつーの全くもう。だがそれがいい!だが今はまぁ気絶しといてね。


「転移。ほいっと」


俺は今までで一番手加減した一撃を後頭部に打ち込んだ。


「…あ」


女の子は膝からガクッとくず折れてその場に倒れた。

その瞬間、周りのガキ共が一斉に声を荒げた。


「ル、ルル、ルッカさんがやられた!このヤロウただじゃすまさねぇッ!!」


「あ、あぁあぁ!殺してやる!このくそガキ!」


「殺す!殺すぅ!!」


うわ、何かここのアイドル的な存在だったのかこの子。

じゃあ胸でも揉んどこうっと。モミモミ。


「「「「ああああああ!!」」」」


…そんなに驚かなくても。いやだって俺赤ちゃんだし。胸くらいいいじゃないか。

俺が完全にショックで固まってしまった子供達をにやにやと見ていると、一際威厳を感じる低音ボイスが子供達の向こうから聞こえた。


「………おい、どけゴミ共。お前らに任せてたらいつまで掛かるか分ったもんじゃねぇな」


「ボ…ボス…す、すいません。…ほら!お前らもよけろよけろ!」


子供達が慌ててどけて作った道の先に、ボスと呼ばれた青年が立っていた。風貌はやはり薄汚いが、鉄製の鎧を身にまとい、2本の剣を腰にさしている。冒険者風な格好をしている。あ、すげぇイケメン。何か腹立ってきた。こいつは殺そうそうしよう。


「舐めやがって。俺様が直々に殺してやる」


青年はニヤリと笑うと、その腰から剣を引き抜いて、


「さぁどこから斬って欲しい?腕か?足か?それともひと思いに首を…」


「そいッ!」


転移して全力で殴った。

イケメンの首から上がパァン!と音を立てて弾けとんだ。

どさり、と、イケメンを失った体が無機質に地面に倒れた。


…よし!ミッションコンプリートだぜ。


「「「「「    」」」」」


その瞬間、水を打ったようにその場がシン…と静まり返った。

うわ、何か凄いやっちまった感がやばいんだが。

しばらく唖然としていた子供達。

だが次の瞬間には、


「「「「「うおおおおおおおおぉぉおぉ!!」」」」」


悪は滅びたと言わんばかりに盛大に喜びの声をあげた。

あ、ボスさんほんとに相当嫌われてたみたいだね。イケメンだったのに。

主人公のキャラが定まらない内に総合評価100を越えちゃいました。

お気に入り登録も増えてきてかなりご満悦な作者です。

これからもご愛読して頂かれば幸いです。

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