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彼と虫たち

作者: 町田克己

近頃彼は気分が優れない。彼にたかっている虫の一部が異様に増えて来たのだ。今は、丁度背中の辺りで、また虫たちが沢山集まって暴れている。そのように、お互いに喧嘩をし、共食いをするのはまだ我慢できるが、今度の虫たちは毒の煙を出すのだ。彼の体をほぼ覆い尽くしそうなまでに虫が増え、それが吐き出す毒の煙に包まれて、彼は最近蒸し暑くて仕様が無い。

 こんなふうに、体にたかった虫が増え過ぎて鬱陶しい思いをしたことは、これまでにも何回かあった。そんな時、彼は冬眠をする。それで虫たちを凍えさせて退治する。またある時は、遠くから飛んで来る小石を体にぶつけ、その衝撃で虫たちを振り払うこともあった。そして、その度に彼はサッパリして気分を変え、それまでとは違う新しい虫を創り出してきた。

 これまで、一体何種類の虫を創り出してきただろう。大きな虫もあれば、小さいが物凄く増える虫、大人しい虫、暴れる虫。しかし、今回創ってしまった虫は、失敗だった。爆発的に増え、他の虫を駆逐し、暴れ回る。おまけに、彼の体の中にまで穴を掘って潜り込もうとしたり、顔の周りをブンブン飛び回り、毒の煙を吐き出す。今までの他のどんな虫も、これほど鬱陶しくはなかった。

 彼は、もう直ぐ生まれて何回目かの冬眠に入る。それで虫たちもかなり退治できる。しかし、虫たちは、それを待たずに滅びるだろう。吐き出している毒雲の量がもう限界に近づいているのだ。それに伴って彼の体温が上がり、掻いた汗が虫を洗い流す。だけど、虫たちはそんなことも知らず、彼の右肩のあたりで、また、武力紛争を始めたようだ。

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