6.不安な鍛錬開始
私の魔術は研究対象でしょうか?ですよね。だって、私がよくわかんないし。全属性持ちの先輩は棟長のみなんでしょうか?全部って何?
棟長様の性別も気になります。そういうのって聞いてはいけない事なんでしょうね。
棟長様直々に私を指導していただけるようになりました。
「全属性持ちって何ですか?」
「そのままの意味だ。全部なんでもできる。無属性の魔術も可能だ。転移魔術なんかは便利だぞ~。浮遊魔術が出来ると、どこまで上がれるか実験したくなる。かくいう私もしたんだが…途中で耳が痛くなったり、頭が痛くなったりしたからそこまでだなぁ」
何かの本で読んだ『高山病』というやつでしょうか?急激な気圧の変化で体に不調をきたすとか?気圧ってなんだろう?
「他にも無属性だと、収納魔術とかなぁ。持ち物を運ぶのが楽になる。生ものは大丈夫なのかとか生き物は大丈夫なのかとか実験をしたなぁ。ほら、腐った弁当と新品のノートを収納魔術で同じ空間に入れておくのは嫌だろう?そういうわけだ」
そもそも、食べ物を入れなければいいのでは?生き物も然り。
「聖魔術も闇魔術も使えるが活躍の場は少ないな。どちらも専門のやつにやらせた方がこちらの利がある。闇魔術が使えるとなると、魔女裁判にかけられる恐れもあるしな。聖魔術の場合は有無を言わさず戦争に駆り出される可能性がある」
それは嫌だな。
「だと、のん気に無属性魔術を鍛錬するのがいいだろう。あ、その他の属性の魔術もそれなりに使えた方がいいかなぁ?うん。全属性持ちってことで魔術師の中に敵が多そうだし」
棟長様にもいたのかな?
「炎属性に、水属性じゃないんだなぁ氷なんだよ。その氷属性。雷属性と草属性、えーとそれから…あ、ごめん。忘れた!あんまり使わないからさぁ。正直無属性の方がよく使うんだよね」
うん、便利そうだもんね。
「どれもイメージすれば使えるけど……。ルアリー、もしかしてその服は両親から与えられたの?」
「そうですけど、何か?」
「その服、魔術の鍛錬が出来ないようになってる!制御するというか、抑え込む感じかな?これまで何か魔術チックな事した事ない?」
「それはないです」
「そのわりに厳重で家族は酷いわね~」
魔術棟に行く祝いだって与えられたのに、そんな仕打ち?メアリーが選ばれなかったのが不満なのかしら?メアリーは王太子妃なんだから、いいじゃない。ここに来てどうするの?
「アレガスにでも新しく服を買ってもらってそれからになるわね、魔術の鍛錬」
非常に残念。ここに来てまで家族が邪魔をする。呪いみたい。
~その頃のメアリー
王太子様には、公務がどうとかいい加減王宮で生活したらどうなんだ?とか言われてストレス溜まりそう。
王太子妃教育なんか嫌よ。なんであんなに勉強しなきゃいけないのよ!私はただ着飾って国のトップの淑女として贅沢な生活がしたいだけなのよ。
王宮での生活?冗談じゃないわよ。四六時中侍女に監視されているような生活耐えられないわ。私は好きな時に好きなだけ食べたいのよ。それを侍女に制御されて生活するなんてまっぴらごめん。だから王宮に戻りたくないのよ!
あー、侯爵家は居心地がいいわぁ。
それにしても、私は3属性持ちだっていうのに魔術棟はちょびっと魔力量のルアリーを選んで持って行ったのが気に入らないわね。魔術棟そのものを潰してしまおうかしら?王太子妃たる私にはその権力があるのよ!
メアリーは欲しがりっ子なんだろうか?欲しがり過ぎだけど…。




