5.デジタルの計測器
魔術棟が所有するデジタルの魔力量計測器と属性情報計測器で私の魔力について調べられた。……最初からデジタルで調べればいいのに。
「デジタルの計測器は高価で、国内でもここにしかないんだ。王国内で測るのにはちょっと……。それに、デジタルの計測器はたまにメンテナンスしなきゃならないんだ。その金額もバカにならなくて、国内にホイホイバラまけるほどの物じゃないんだ」
魔術棟、怖~。
『ルアリー=ビックト、魔力量346786。属性、いろいろ全部』
「ルアリー嬢すごいなぁ~。計測器が匙投げた。属性イロイロすぎて面倒だったんだろ?説明」
「アナログ計測器の最大計測値が5桁だから、針がグリングリンしちゃう意味わかるなぁ」
「だろだろ?」
「アレガスの手柄じゃないだろ?」
「あ、俺はカント。魔力量は5万くらいだったかな?3属性持ち」
「カント!自分の属性とかホイホイ教えるもんじゃないって棟長に言われてるだろ?」
「属性の中身は言ってないじゃーん」
仲良しだなぁ。
「私はマースよ。家名とか長いでしょ?同じ女性同士だものよろしくね!」
棟長の性別が気になる……。
私はビックト侯爵家で虐げられて生活してきたから、厚遇されてかなり動揺してしまう。
「えーっと、そろそろ皆さんの食事の支度を始めなければならないのですが、何人くらいいらっしゃるのでしょうか?」
「ルアリー嬢、魔術棟はそれ自体が寮になってるから、寮母さんが全部お世話してくれるんだよ」
なんていい環境なんでしょう?私は明日にでも天に召されるんじゃ……と思ってしまう。
「ルアリー!ルアリーは私と同室の306号室よ。これからはルームメイトね!」
ルームメイト…なんていい響きなんでしょう?
「侯爵家の部屋よりも質素でしょうけど……」
そうマースは言うけれど、個人的に机が完備されているし、藁でできたベッドで寝ていた生活に比べたら雲泥の差だ。
「二段ベッドよ。どっちがいいとか希望ある?」
ベッドであるという事実だけで素晴らしいのでどちらでもいいのです。
「ルアリーは謙虚ね。じゃあ、私が上!」
風呂もトイレも二人で共用だけど、素晴らしい!どっちも掃除とかは寮母さん(と専門業者さん)がしてくれるらしい。
「食事は寮の食堂ですることになってるんだけど、時間厳守よ!時間通りに行けば問題なく食べれるんだけど、遅れると食事にありつけないのよ。魔術を扱うとお腹減るのよね。そういう理由もあるんだけど、成長期の男子もいるから戦場よ、食堂は」
毎日3食食べられるだけで私は幸せです。
「そもそも魔術棟って何をしてるの?」
「ここは一応というか堂々の王立なんだよね。有事の際に魔術師が配置されることになってる。だから、3属性持ちとかここじゃ珍しくないのよ。普段は魔術の鍛錬したり、研究したり…かな?」
私も棟長の性別気になる~。




