4.第4王子視点
属性検査の神官は若手だろうか?経験不足だな。
俺は気づいた。黒の下の方からちょびっと青い色がはみ出ているのを。
あの黒色は純粋な黒色ではなく、全色が混ざって黒になるものだ。
すなわち、彼女は全属性持ち。
「そんなに言うのなら、彼女の身元とか全部魔術棟で預かろう」
俺はこれでも第4王子だし、それなりの発言力がある。…魔術棟での発言力は弱いけど、俺が見たものを棟長に伝えて、再び検査をすれば自ずと答えは出てくるだろう。
「魔術棟が黒魔術を?」
「闇魔術だろ」
「魔術棟も落ちたものだな、ハハハ。やはり剣術の方が…」
俺はついつい魔術棟を貶めるような発言をしたやつの持ち物に攻撃をしてしまった。
俺は睨むと、その先にあるものを破壊してしまう。そのため、普段はニコニコとするようにしているのだが……。
「ビックト侯爵家の皆様、了承していただけるでしょうか?」
実は……ルアリー嬢に興味が湧いたので、彼女がビックト侯爵家でどんな生活をしているのか魔術で見させてもらった。……使用人?かと思った。人違いかと思った。使用人にも虐げられてたし、魔術棟で保護すべきだよなぁ。貴重な全属性持ち。
「恐れながら殿下。我が侯爵家のルアリーなど役に立ちますか?それでしたら3属性持ちのメアリーの方が役に立つでしょう?」
3属性持ちなんか魔術棟にたくさんいる。むしろ見飽きてるくらいだ。
「私はルアリー嬢を所望しているんだ。棟長の許可は自力で取る(ルアリー嬢の力だけど)」
「それでしたら……」
――――
有無を言わさず、私の身柄は魔術棟預かりとなった。有無を言わさずというか、何も言うなと言ったのは侯爵家だが。
「あー、俺の名前はアレガス=ハットプス。この国の第4王子だけど、まぁなんだ?魔術棟に勤めてる。今回ルアリー嬢を連れてきた理由なんだけど」
「私は闇魔術?」
「あ、それ違う違う!あんときの神官は新人だったのか?見落とし過ぎだっての!黒の下のところからちょびっと青がはみ出てたんだよ。つまりいろんな色をぜーんぶ混ぜて黒になったってわけだ。よって導き出されるのは、全属性持ち!」
「それって何できるんですか?あ、私は魔力量少ないし……」
「ああ!その時のも見に行った。君の姉は確かに一周してたね。でも…ルアリー嬢の場合はさあ、針が超高速でグリングリン回った後に止まった結果なんだよ」
「アレガス、期待の新人を連れてきたと言ったが?」
「あ、棟長!すごいんですよ!魔力量は計測器の針をグリングリン回したし、全属性持ち!」
「ほう、そいつはすごいな。それより、アレガス興奮し過ぎだ。近すぎだ」
棟長と呼ばれた人は威厳ある風貌で、中性的。性別がわからない。
なんだか強そうなローブを羽織ってて、アレガス様(第4王子)でも動じない肝の据わった人だ。アレガス様曰く、棟長様も全属性持ちらしい。
ルアリーちゃんは自己肯定感が低いなぁ。すごい子なのになぁ。




