3.属性計測
王家から舞踏会の招待状が届いたらしい。……私には関係のない話だけど。
「ルアリー‼奇跡的に貴女もというか、家族全員が舞踏会に行かなくちゃならないのよ。侯爵家の我が家の家族構成を王家の皆様はご存じだし。ああ、困ったわぁ。ルアリー!決して、目立つような行動はしないように!」
「お母様、そんなことルアリーに無駄ですよ。いいことルアリー。何もしゃべっちゃダメよ?わかったわね!」
そこまで念を押されて言われては、メモ帳みたいなものを持って行って筆談っていうのもダメなんだろうな…。
「そうそう、勝手な行動もダメよ。ウロウロされるだけで迷惑なの!わかったわね!」
舞踏会…ダンスはできないけど、立食で食事を楽しもうと思ってたのに、この家族の傍にいるだけで、美味しそうな食事もオアズケかぁ。仮病…しても無駄な抵抗なんだろうなぁ。実際に病気でも連れて行きそうだし。王家主催の舞踏会で誰か他の高位貴族の方に感染したらどうするんだろう?まぁ、健康が取柄みたいな私がそう簡単に病を得ることはないだろうけど。……舞踏会場での食事にありつきたかった。
そういえば、久し振りにお姉様に会ったけど、ちょっと太ったように見えたのは気のせいかな?
舞踏会当日
「ルアリー、余計な事するんじゃないわよ?ただ黙って傍にいるだけだからな」
「そうよ、招待状に『家族で参加』って書いてあるからルアリーも連れて行くだけで、本当なら留守番でもさせておきたいところなのよ?」
留守番は執事とか使用人とかたくさんの人がしています。
「とにかくわかったわね?返事くらいしなさいよ!」
「……はい」
口を開くなと言うから黙ってたのに、不条理だ。
舞踏会では通常の舞踏会の他に魔力の質の検査もするようです。だから『家族全員での参加』というわけです。
「たいして魔力量もないから期待してないのに何なの?ルアリーは来る意味あるの?」
「まあまあ、ルアリーの目の前でお前の凄さを披露してやるのもいいだろう?」
お父様の口角は嫌な感じで上がったが、それ以上にお姉様は私を見下して笑った。
なんだかキャンバスのようなものに手をかざすとその人が持っている魔力の使い道がわかるようです。
ある人が手をかざすとキャンバスが赤くなりました。
「ほう、炎属性があるようです。制御できるようになれば結構便利な魔術となるでしょう」
そのように、神官さんから説明を受けている。
お姉様の順番となり、お姉様がキャンバスに手をかざしました。キャンバスが白くなりました。
「聖魔術?」
「違いますねー。炎属性・水属性・雷属性の3つの属性が貴女にはあるという事ですね」
(それもそれぞれ同じだけの分量で…)
「きゃー♪私は3属性もちなんだー!」
お姉様はその場で大きな声で言いました。……他の人を牽制するように。
「流石、私の娘ねー。魔力量も多いし。王太子妃で当然でしょう?さ、ルアリーの属性でも見てきなさいな。安心おし、期待してないから」
私も期待してません。
私がキャンバスに手をかざすとキャンバスが真っ黒に……。
「うわー、黒魔術師だ」
「闇魔術使うんだろ?」
「魔力が少ない上にそれってサイテー」
ルアリーちゃん、なんか人生捨てちゃってる?まだまだ若いのに…。




