2.王太子視点→侯爵家使用人達視点
最近王太子妃のメアリーが太り気味だと思う。自己管理もできない者に国母は任せられないのだが……。
「メアリー、王太子妃として王宮で生活をして欲しい」
そうすれば、彼女の資質が明らかになるというものだ。とりあえず急ぎ王太子妃教育を終えてほしい。
王太子妃に決定したのは、かなり前になるのに何故こんなに時間がかかっているのか、私にはわからない。
王太子妃教育の教師を辞する人間が多数出た。メアリーにこの事を問うと、「私とは気が合わないそうです」 と、言われた。気が合わないからといってやめてしまうだろうか?彼女は王太子妃教育が嫌なのでは?と疑心暗鬼になってしまう。
そんなことはないと自分に言い聞かせるのだが。
王宮での生活も王太子妃ならば当然なのだが、彼女は拒否をしている。理由がわからない。
いろいろ考えてしまうが、今度王宮で舞踏会が開かれるのでそこにビックト侯爵家一家を招待した。
メアリーは王宮よりも侯爵家の方が居心地がいいのだろうか?それならば王太子妃でいる意味は?
―――――――――
私は侯爵家に仕えて長い侍女ですが、正直メアリー様は王太子妃に向いていないと思っています。思っているだけで口には出しませんけど。私にだって侍女としての矜持があります。
王太子様はメアリー様のどこがいいのでしょう?
ワガママ・傲慢・贅沢。魔力量は突出しているかもしれませんが、ワガママ・傲慢・贅沢っていう性格も突出しています。王太子様の前では借りてきた猫のようなんでしょうか?
国の税金であるお金で豪遊されたらと思うと、ぞっとします。一刻も早く亡命せねば!と。王宮の使用人達にも同情をしてしまいます。
それにしても……メアリー様は王太子妃に正式になったというのにいつまで侯爵家に居座るつもりなんでしょうか?
侯爵家の使用人が消耗してしまいます。
正式な王太子妃ならば、王宮で生活をするのが普通で、里帰りなど出産とか特別な場合だけ許可されるのではないでしょうか?
王太子様はメアリー様に甘いんじゃないでしょうか?そんなだと王太子様の国王としての資質が疑われます。
―――――――――――――
私は侯爵家に仕えてうん十年になる庭師。ビックト侯爵家の庭はこの私が作っている!
というのに、どうだ?メアリー様が「あの花がいいと思うの」とか「私はこの花は好きじゃないのよね~」と言う度に庭の変更を!
しかもだ!先年「嫌いだ」と言っていたはずの花を庭から失くしたら、翌年「どうしてあの花がないの?あの花が咲くのを楽しみにしてたのに!」と、侯爵様に泣いて訴える。
私としては「先年お嬢様が嫌だと仰っていたので…」としか言えないが、メアリー様は「そんな事言ってないわよ!」と言う。実に面倒。
私はルアリー様の方が好きなんだよなぁ。
「いつも庭を手入れしてくれてありがとう。おかげで今年もキレイね!」
と、言ってくれる。その言葉で救われる気持ちだ。
そんな二人の違いがあるから、王太子様がどうしてメアリー様を王太子妃にしているのかわからないんだよなぁ。たかが魔力量が多いから?
性格に問題があると思うけど、それはいいんだろうか?
さまざまな方からの証言のようなものが…。王太子妃なんだよね?メアリー…。大丈夫?
ルアリーちゃんは庭師さんから好かれてるみたいだねぇ。ほっこりとするようなお話をいただきました。




