10.メアリーの今後
「王太子よ、お前はこのような王太子妃についてどのように考えている?」
「魔力量のみで決めてしまったことを後悔しております。彼女に王太子妃の資質はないと」
「なっ…、しかし陛下。私は3属性持ちだと前の舞踏会で発覚いたしました」
「それがどうした?魔術棟にそのような連中は沢山いる」
「私の魔力量だって‼」
「あの計測器の正確性も疑ってしまう。メアリーの妹君の魔力量は魔術棟の棟長の約3倍だ。この計測にあたっては魔術棟にのみ存在する最新デジタルの計測器で測定した結果である故正確なものだろう」
「ルアリーの属性は闇じゃないですか!」
「魔術に関する個人情報は守らなくてはならないため伝えるが、彼女の属性は闇ではない」
「陛下!私はメアリーと離縁し、ルアリーなる人物と実際にお会いしたいのですが」
「うむ。メアリーとの離縁を許可しよう。使用人の間でもメアリーの評判は悪い。すなわち、性格に難ありなんだろう」
「ありがたき」
「ルアリーは魔術棟にいる。会うのは…棟長の許可がいるかもなぁ」
「魔術棟に大事にされているのですね」
「それだけ彼女に人望があるという事だ」
このようにメアリーはあっさりと王太子にも国王陛下にも見放されてしまった。次期王太子妃候補としてルアリーの名前が挙がっている。
メアリーとしてはその事は気に入らない出来事だった。
王太子は棟長宛に『ルアリーに会ってみたい』という内容の文を送った。しかし、アレクと意志が疎通できるルアリーにとって馬術は容易で、普段どこにいるのかよくわからない状態だった。
わかるのは3食食堂に時間通りに現れるという事だけ。残りの時間はアレクとどこに行っているのか棟長すら把握していなかった。
「困った……。食事の時間に合わせて王太子に来てもらうしか手はないけど。だいたいルアリーは普段何してるの~‼」
メアリーは魔術についても鍛錬をしていないので3属性持っていても宝の持ち腐れというやつで全く役に立たない。
「もうっ仕方ないわね。物理的な手段しかないじゃない‼」
本当に偶然にメアリーはルアリーがアレクに乗っているのを目撃した。
「ルアリー、話があるの。あのね、私、実は王太子妃じゃなくなったのよ。あんたのせいでねぇ!」
メアリーはアレクに斬りかかった。ルアリーは周到にアレクには物理攻撃を無効にする魔術をかけていた。山賊なんかがいるところも通るための防衛手段だったが役に立つとは‼
「仕方ないわね。全く、ルアリーったら冗談なのに!」
そう言いながらもメアリーはルアリーに斬りかかる。ルアリーはメアリーを拘束し、アレクを連れてそのまま王城まで転移魔術で移動した。
「あ、ルアリー=ビックトです。先ほど、実の姉メアリー=ビックトに斬りかかられました」
「証拠がないじゃない‼こんなに拘束して酷いっ!」
「証拠ならこの映像でいいですか?」
ルアリーは先ほどメアリーがアレクに斬りかかったところから全部映像で記録していた。
「見事だな。殺人未遂容疑でメアリー=ビックトを拘束する。と…拘束はもうルアリー嬢がしているな」
「あ、私の魔術なので物理的に縄で拘束するのが確実かと思います」
「なるほどな。助言に感謝する」
メアリーは今後地下牢で生活することとなった。
メアリーは自業自得だねぇ。ルアリーちゃんはなんだか悠々自適に生活してるようだけど?食事の時間は守るんだね。感心。




