1.メアリーとルアリー
新作です。よろしくお願いします!
姉妹での格差ですねぇ。酷くない?
私が生まれたビックト侯爵家は代々魔力量が多い家系。
中でも姉のメアリーは5歳の計側日に、計測器の針が一周したことでかなり有名。それ故に姉は、王太子妃として生活することになったんだけど…。
私はというと……。
5歳の時に初めて行った大聖堂は、キレイだったなあ。天井のステンドグラスがキラキラして、荘厳という言葉が似合う感じだった。自分の語彙力の無さが恨めしい。
そんな中で計測をすることになったんだけど、
「メアリーの魔力量が物凄かったんだから、妹のこの子だって、かなりすごい魔力量のはずよ!」
と、母の期待を一身に背負う形となり魔力量の計測をしたけれども、計測計の針はちょびっと動いたにすぎなかった。
「嘘よ‼この子は必ず魔力量が多いはずよ!そうよ、計測器が壊れてるんだわ、そうに違いないわよ!」
そう侯爵夫人である母が食い下がるからいろんな計測器で計測することになったけど、どれで計測しても私の魔力量はちょびっと。
その日から私の生活は変わった。5歳までは3食が十分に与えられ、睡眠も自分専用の部屋のフカフカのベッドで寝ていたけれど―――1日1食程度の食事に変わり、睡眠は藁で出来たベッド。
姉のメアリーは助けてくれるどころか「私なら耐えられないわ~。これも自分の魔力量の少なさを恨むのね」と言って、私を嘲け、蔑むばかり。姉は王太子様の婚約者だから、私みたいなのにはかまっていられないのだろう。
そんな中、王家から舞踏会への招待状が届いた。
「なんで、家族全員が出席しなきゃいけないのよ?あのちょびっと魔力のルアリーもでしょ?」
王太子妃ってそんなに傲慢でいいのかな?とは口に出して言えないけど、王太子様の前では猫を被ってるのかしら?
私だったら猫を被って一生を過ごすのは嫌だなぁ。
「ルアリー!余計な事するんじゃないわよ!間違っても私に迷惑がかかるような事はしないで頂戴!」
人にモノを頼む態度じゃないんだけど仕方ないよね…。諦めはもうついてる。5歳の時からこんな家族に囲まれて生活してるんだもん。
「あぁ、ドレスはどうしようかしら?」
「新しく買えばいいじゃない?『私は王子妃なんだから!』って主張するような!あぁ、ルアリーのドレス?メアリーのお古でも着れば?」
それって流行遅れだったりするんじゃ…ってこの人達には私がどうなろうと関係ないのか。
メアリーとは体形が違うから自分に合わせて裁縫しないと…。
だって、5歳の時からまともに食事してないから同年代の人よりも小さいです。どこもかしこも。対して、メアリーは気の向くままに食べている傾向にあるから太り気味なところがあるように見えるけど…。口に出しては絶対に言わない。
ルアリーちゃんの運命や如何に!?