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ホロらいふ  作者: 赤木
13/19

憤り

マリンとあくあは、ゆっくりと城から城下町に下りると、そこには、白銀ノエルことノエル団長とエルフの不知火フレアが居た。


凄まじく強い風が吹く。


この風は一体何だろうか。そんな強い思いからノエルはマリンに尋ねていた。


「この風って前に経験した事ある?」


開口一番それなもんで、マリンは少し、困ってしまった。と言うのも、こう見えて隣にいる湊あくあが絶妙にしどろもどろとしているからである。


「無い。冷たさで言うなら確かに一度だけあった…けど、それも小さな、まるで恋に吹く人風の様な感じ。」


「そっか。マリンもこう言うのは初めてなんだね。安心した。」

そう言うが早いか。不知火のフレアが突拍子もなくこう言う。

「ぺこランドに行ったって言うが、あそこの温泉は私達、不知火建設の管轄だからね。」

兎田建設に不知火建設、きな臭くなって来た所であくあが声を開く。

「そ、それなら、あてぃし達、アクキン建設も忘れないでよ。」

斯く云う船長も、つい先日のダラダラゴロゴロしていた時に、其の中の一員に加えて貰っていたのであるが、それを言うのは今回が初めてだ。


「へー、あのマリンがね〜。」

随分と馴れ馴れしいじゃないか。そう言いたげな目をしているマリンは、ある意味で一番清く正しいのであった。


「それより、この前の娘はどうしたの。」

「待った。フレア、それは禁句。マリンは最近この王都に、お姫様の城に連れて行かれたんだから。それも一人で。」

「ああ、そう。ごめんごめん。そう言えば、あの子の名前ってなんて言うだっけ。」

照れ隠しか。その時、突風が吹く。

「るしあ。潤羽るしあ。」

「それって、ルシフぁ!?もがもが一体何する不知火(フレア)?!」

全く、目の前でイチャコラと。この中では、まあ、マリンのは置いておいて、るしあの胸があったとしても、0か。

「其の名前は禁句でしょうが!!何考えてんのノエちゃん!?」

「あ、うん。ごめんね。」

「謝るのはこっちじゃなくて-」

言うが早いか謝る白銀ノエルは、やはり騎士団長らしく、仰々しい礼だった。

マリンは、それなりに偉大になった気持ちを抱きながら、やはり、と言うか皮肉にもと言うか、マリンだった。

「丁度良い。この前の喧嘩の続きといこうか。」

「そちらが、るしあにそれ程関係を持ちたいと言うなら、所詮は、其の程度の面構えしかできないって言うのを教えといてやるよ。」


若干、何を言っているか分かってない白銀団長とルシファーにはさせないと言うマリン船長の熱き想いがぶつかった。


闘いが始まろうとしていた。


「そっちがその気なら、こっちも全力だよ。」

其の言葉に一瞬も追随することなく、マリンはこう言い放った。

「あたぼうよ。一気にケリ付けてやるよ。」


上段面-おあいこで首を跳ねようとするかの刹那の間際、鍔迫り合いになり、押し込んで行くパワーが極めて勝る。ギャリィィンと音を立てて、棍棒メイス刀剣チャッカルが火花を立てて競る。


身を乗り出している其の姿勢のまま、後ろ手で銃を取り出し、素早く下がるかの最中に発砲し、大きくアドバンテージを得る。防具である程度ガードはできている。それに伴い大きく深呼吸をした白銀の一撃があっという間に、マリンの眉間に命中し、ダラダラと血を流すマリンに続く二撃目、肩周りで一気に回し息の根を止めようとする。


狙いは、マリンの胸元と首元の間の呼吸を確認する部位。マリンは柄で逆にノエルのその部位を狙うと、互いの肘ががっぷり合う。マリンはそこから、素早くノエルの首元を引き切ろうとするも、ノエルは右の足払いから左膝蹴りと左肘でのカチアゲの動作を行い面を放つ、マリンを吹っ飛ばす。若干、首元に当たった鋒がノエル団長の首を掠めるも、大事には至らない。


互いの本領を知った上で、マリンはノエルに刀剣チャッカルピストルの両方を合わせると、ノエルが先程の要領で面を振り被って来た。

圧倒的なまでの突進力、それを活かして、縦に二撃、上から下、下から上への棍棒メイス殴り合せと最後に全体重を乗せた突きを合わせる。マリンはこれに応じて、バックステップから、後ろ回し胴を敢行。其の直後の硬直にピストルを合わせる。

両者共に大ダメージを追い、其のまま、お互いの愛人の元まで吹っ飛ばされると、この闘いの真中に、ときのそらが時空を超越してやって来た。其のポーズは静止を促しており、これにより、両者共に全力を出し尽くした闘いに一切の禍根は残らなかったのである。

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