物語
ピンポーン
またベルが鳴る。
不思議と今回は悪い気がするのである。開けると、そこには、見たところお嬢様のルーナ姫が立っていた。
「約束を果たしに来たのらね。大人しくお縄に掛かるのら。」
「ああん?調子に乗るのも大概にしろよな!」
「無駄な抵抗はよせ。お前が犯人なのらね。」
こうして、宝鍾のマリンは謂れのない罪で手錠を嵌められ、連れて行かれた。
「マリンが、居なくなった。」
「あの女海賊がね。」
「だからなのかな〜。」
「そうは、問屋が卸すか。」
「奪われた仲間は必ず取り返す!」
「ね〜、台風も濃くなって来たし、大人しくお家に居ようよ〜。」
そうして、同居人が居なくなって、初めてこの家には規律が齎された。そして…
「それじゃあ、一丁気を入れて、王都までレッツゴー」
ところが、全員、気の済むまでぐうたらしていたせいか、思う様に進まない。それどころか雲行きが怪しくなって来た。
「風凄ッ」
「え〜、風強い〜。」
「ねぇ、風が止むまでお家に居ない?」
「僕の家で良ければ幾らでも貸してあげるよ〜。」
「じゃあ、マリン船長救出はこの大風がどっか行ったらって事で。」
「「「賛成〜」」」
という訳で、マリン船長は、依然捕まったままだとさ。