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9日目
>彼女に会いに行く
こんにちは。
ふふ……。
今日は、きちんと。お持ち頂いたのですね。
ええ。ありがとうございます。
これはあなたの友人、あるいは知人であることとは別に。
純粋に図書委員として、感謝をしています。
ああ、すみません。
いじめたかったとか、意地悪をしたかったわけではないのです。
そこだけは、信じてほしいな……。
……ありがとうございます。
ふふ、ふふ……。
ふふ……。
嬉しいなあ。すごく、とっても。
おっと。
……こほん。
あなたにとって、私がどう見えているか分かりません。
たとえば私にとって長いこの髪も、あなたにとっては、女の子だしそれぐらいいるかな、かもしれません。
威厳のないこの目だって、優しそうな印象になってるなんて、そんな風に思っているかもしれません。
……あなたが、どう思っているか、その真意は分かりませんが。
二次元作品において、不等号のような。
そんな可愛らしい、目の表記があるでしょう?
私も。ああできたら、本当はよかったのかしら。
記号であるのに、記号を超越した表現。
それでいて、その示すかたちは、とても記号的。
定義を超越したのに、新しい定義を生んでしまったいる。
それってなんだか。
違う意味で、とても。
可愛らしいこと、かもしれません。
難しい……?
まさか。
いいですか?
かわいいって、とっても複雑なのです。
ひどく感覚的で。本当は理解しようもない代物であるはずなのに。
どうしてか。なぜか共通項として理解できる要素のある。
ふふ……。
ちょっとだけ、愉快です。
私はこうして、感じられる、理解できる概念が。
あなたにとっては、公式の存在しない、ひどい難問のように、感じてしまうのでしょうね。
だから。
あなたが理解できていないことを。そんなことは感じていないことを承知でいいます。
「私」として。本当は。あなたが喜んでくれることを。
それが判別できていなければ、これを告げてしまってもしょうがないのでしょうけれど。
でも、きっと。
あなたであれば、十全でなくても。私の想いを受け止めてくれるとは思うから。
きっとゆっくりとしか、あなたには伝わらないでしょう。
きっとゆっくりとしか、わたしは伝えられないでしょう。
ですから、どうか。
私の気持ちを、どうか、受け取ってください。
……ね?
そうして。
この止まっている世界を。進まない世界を。
それに付き合ってくれた、あなたの優しさを。
それでも私のために、止まってくれたあなたを。
返すことは、できないけれど。
それでもいいと。あなたが想ってくれるのであれば。
いつかのように。
あなたには傍にいてほしい。
これは冗談でも妄言でも空想でもなく。
私が。私という存在が。
あなたに伝えることのできる、その限界だと。そう思うから。
ねえ。
知っています?
わたしね。
あなたのこと、好きです。
だから。これからも。
一緒に――
一緒に。近くに。傍に。
あなたが、いたらって。
そう、思っています。
それだけです。
それだけ、なんです。
明日は晴れるらしい。