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霖雨  作者: 如月一月
7/9

7/7

7日目


>『図書室へ行く』

あなたでしたか。いらっしゃい。


まるでお店のようなやり取りですが、こういうのもいずれ慣れてしまうのでしょうね。


教室では行わないようなやり取り。嫌でしょうか。

図書室でも行うようなやり取りでは、ないのかもしれませんけれど。



それにしても、今日は随分と早いのですね。


それほど変わらない?


……ああ。そうか、そうでしたね。

ごめんなさい。忘れてください。こちらの話です。

ええ、私の問題です。




今日もしっかりと雨が降っていますね。

あなたにとって、この雨は恵みでしょうか。祝福でしょうか。それとも、災い?

どうでしょうか。


どうして、は駄目ですよ。

どういう感想であっても、あるいは思考の結果として、感じ取るものがなかったとしても。

それでも今、あなたが感じたたそれが、あなたにとって、どれだけ平凡な思いであっても。

あなたが考えてくれたその刹那が、私には嬉しいのですから。


ふふ……。


妙なことを言っている自覚はあります。

それでも。

あなたならしてくれると、そう信じたのです。



……それにしても、あまり涼んではくれないのですね。


じっとりと、ねっとりと……。

かつての記憶では、どんな季節でも、雨が降ってさえくれれば、もっと穏やかに過ごせたと思ったのですが。それはもう、ただの哀愁なのでしょうか。

それとも、精神が贅沢を覚えてしまったから?

それは……それはきっと……。




…………。



……雨が。

雨が、窓を伝っていきます。

ひとつ、ふたつ、みっつ……数え切れないほどの、雨が。

幾筋も、幾筋も。軌跡を残すのに。そのひとつとて、残すことの出来ない跡を。


何故、気になってしまうのでしょう。

普段は、気にも止めず。感じることもなく。

ただただ、目に留まることもない、こんな、ものが。


止まない雨と、明かりのない空。

これは、今日だけ……けれど……。


…………。




ごめんなさい。

今日はうまく、バランスが取れていないみたい。


それだけ私が自由でいるということなのですけど。

けれどあなたにとっては、困惑を感じさせてしまう、バグのようなものだから……。



楽器のように、すっと調律できればいいのでしょうけれど。

どうしても、時間がかかってしまう。

時間という平等な資源を、平等にコストとして消費してしまう。



それでもきちんと、直しておかないとね。



彼女と会話を重ねた

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