第5話 ステータス
「それじゃみんなバイバイ〜」
千夏がそう締めくくり、僕は初めての配信を終える。
「ふぅ〜疲れた〜」
「雑談配信とはいえ、久しぶりの配信でしたから疲れましたね」
「2人共お疲れ様。それとダンジョンに行く許可を出してくれてありがとう」
「私達も兄さんと一緒に探索したいという気持ちもあったのでお互い様ですよ」
「あ!私知ってる!こういうのをWin-Winって言うんでしょ!」
やっぱり2人がいた方が楽しいな。
「ダンジョンなんですけど行くのはいつ行きますか?」
「2人は明日何か予定はあるかな?できれば明日行ってみたいんだけど」
「明日は何も無いよ〜」
「私も何も無いので明日ダンジョンに行きましょうか」
「「了解!」」
そして明日ダンジョンに行く事を決めて今日はもう寝るのだった。
「みんなおはよう〜!ツインズチャンネルの千夏だよ〜」
「みなさんおはようございます同じくツインズチャンネルの千秋です」
「みなさん昨日ぶりです。2人の兄の春人です」
:2日連続配信きちゃぁぁぁぁ!!
:今日は外でやってるんや
:この男誰?
:ここってダンジョン前じゃね?
:昨日の今日でもうダンジョンに行くのかww
:え、お兄さん復活したの!?おめでとう!!
「昨日の配信を見れてない人もチラホラいますね」
「そうだね。もう一度自己紹介をしとこうか。改めて初めまして。2人の兄の四季春人です。つい1ヶ月程前に意識を取り戻しました。それからリハビリを経て、昨日の雑談配信にお邪魔させてもらいました。それと2人の配信を見て応援して下さった皆様、そして様々な情報提供をして下さった方々、本当にありがとうございました。皆様のお陰で2人や今の僕が居ます。本当にありがとうございました」
そう言って僕は頭を下げる。ダンジョン内を配信するというものができてから1年。2人は沢山の人達に助けられただろう。2人だけでやっていた4年間より、ここ1年の方が精神的にも楽だったはずだ。
:2人のお兄さん!?
:復活おめでとう!!
:ようやく2人が無理しなくなるのか
:こちらこそお兄さんが助かってよかったです
:でもなんでダンジョン前に居るの?
「みなさんありがとうございます。ダンジョン前に居るのは僕がダンジョンに入るからですね。ずっと2人に助けられて僕も何かしないと兄として情けないですからね。5年間寝ていたので就職等も絶望的でしょうし、それなら2人が行ったことあるダンジョンに行ってモンスターを倒して将来的には2人を養えるくらいお金を稼ぎたいと思っています」
:確かに就職はきついだろうな
:就職•••うっ、頭が
:めちゃくちゃいいお兄さんやんけ
:2人を越すってだいぶきついのでは
:2人共Bランクだしな
「それでもいつか2人を追い越してみせますよ」
「ということで今から春兄のステータスをチェックしたいと思います!」
「ステータスを見ることができる結晶を持ってきたのでダンジョンに入る前に兄さんがどれくらいなのか見てみましょう」
:ステータスチェックきた!!
:お兄さんの初期値はどれくらい強いのか気になる
:2人の兄だから強かったりしてw
「そのステータスを見る結晶?はみんな持ってる物なの?」
「そうですよ。このステータスを見ることができる結晶はダンジョン協会の人達が探索者に渡される物なんですよ」
「春兄早くステータス見ようよ!」
「これはどうやって見るんだ?」
「この結晶を持ってステータスオープンって言ってみて!」
俺はそう言われ結晶を持ち、言う•••これ口で言うの?恥ずかしく無い?
「ステータスオープン」
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名称:四季春人(記憶封印)
年齢:20?
種族:人間
Lv.1
体力 100/100
魔力 100/100
筋力 100
速力 100
知力 100
精神力 100
スキル:剣術Lv.1
称号:『⬛️⬛️の呪い』
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「おお•••」
目の前に半透明の青いボードが現れる。急にファンタジー味を帯びてワクワクしてきた。
「ステータスが全部100?てか名前の隣の『記憶封印』ってのと年齢の横のはてなはなんだよ」
明らか普通は現れない表示の様に見えるんだが?大丈夫なのかこれ。
「確かになんでだろう•••あ!春兄が私達を助けたのを覚えてないのってこれのせいなんじゃない?」
「確かにその可能性はありますね。年齢も5年間寝たきりだったのに関係あるのでしょうか?」
:オール100てww
:ナンダコレハタマゲタナァ
:記憶封印ってなんだよww見たことないぞww
:ゴブリンくらいをギリ倒せるか?
:うーん、弱いな
:1番最後のやつなんだあれ
:文字化けしてるやんけ
コメントでそう指摘されてから僕は下の方の称号に目を向ける
「えっ、ほんとだ•••『⬛️⬛️の呪い』?なんだよこれ」
「文字化けしてるね•••春兄ちょっと詳細を見せてよ」
「見せてと言われてもどうやるの?」
「その文字をタップすると詳細をわかる様になりますよ」
千夏と千秋に言われて『⬛️⬛️の呪い』を恐る恐る触る。
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『⬛️⬛️の呪い』詳細:条件を達してない為閲覧出来ません
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「えぇ•••」
:閲覧出来ませんは草
:そんなことある?ww
:こんな表記見たことないんですがそれは
:結構やばいのでは?
「春兄なんか心当たりとかないの?」
「全くないぞ」
「兄さんの『記憶封印』ってこれが原因なのでは?」
「ありそう」
マジでなんなんだろうか。文字化けしてる理由を知れると思ったのに。
「まぁ詳細が見れない以上、気にしても仕方ないか。それより僕は早くダンジョンに入ってみたいけど?」
「ん〜すっごく気になるけどレベルが上がれば条件を達してみれるかもしれないから春兄がいいならこれいったん忘れてダンジョンにいこ!」
「兄さんが気にしないのならば大丈夫ですね」
:いやもっと気にして!?
:そうだぞ
:でもお兄さんってダンジョン行ったことないんだよね?ならこんな分からない称号よりダンジョンに入ってみたい気持ちの方が強いよなw
:本人がいいならいいんじゃない?
:ダンジョンに初めて行く時のあのワクワクした気持ちわかるw
「それじゃダンジョンに行くぞ〜!!」
「「お〜!!」」