カノジョ(仮)35
人類が人型兵器で戦争をするようになって半世紀。
月面軍の最終防衛ライン『マツタケ要塞』(その形から地球合同軍が勝手にそう呼んでいる)攻略戦の前の出来事である・・・
地球合同軍エースパイロット・ナナミ少尉の部屋。
「リリアン!」
またその名を叫んで目が覚めてしまったナナミ。
「あれ!ミナミちゃんは・・・いない。さっきの寝言は聞かれてないか」
毎日腕枕させられているGカップの美少女の姿がなかった。
枕元の時計を見ると、
「3時18分。夜じゃん。ミナミちゃんは・・・」
さがしに行こうと思ったが深夜3時とわかったので、
「どうせコンビニでしょ」
宇宙巡洋艦アレックスコード内にも24時間(地球時間に合わせてある)営業の店がある。23時以降は電子決済の無人店舗になるのだが。
「リリアンか」
リリアンは敵の巨大人型兵器の女性パイロット。ミナミちゃんの次に、親密になった女性。短髪で、切れ長の目。そして、ボイン。
「あー眠れない。ミナミちゃん、さがしに行くか、と思ったが、パンツが」
ナナミが脱ぎ捨てたパンツをさがしていると、
「なにやってんの?」
艦長公認の同棲生活をしている同棲相手ミナミが帰ってきた。
「ミナミちゃんこそどこ行ってたの?」
「グアバ飲みたかったから」
グアバとは月に本社を置く飲料メーカーが製造販売している、地球育ちの人間にとっては謎のジュースである。色すごいし。
月の移住者のお嬢様は、
「『ゴム』も買ってきたから」
(おわり)