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結果
それは、『彼女』の一声によって覆られた後の話。
そんなことを知る由もないボクらの話。
「【世界記録・回帰】」
何万回、何億回と世界が滅ぼされた後の。『正しい世界』の先の話。
「あんたの話し方、やっぱり不思議ね。幼女みたいだわ」
うららかな昼下がり。春の日差しのあたたかい窓辺。
魔王城というには、あまりにものどかな日々。
「そ、そんなにかなぁ…ボク、オスだし割と年いってるんだけど…」
白髪の勇者と、テーブルを挟んで向かいに座る。
「相手の油断を誘うためかしら?」
銀色の瞳が、興味深げに覗き込んできた。
…確かに、そうではある。
『魔王』としての立ち居振る舞いとして。人間を怖がらせることのないように。
でも、それも取ってつけた理由。
実のところ、何となくというのが一番の理由だった。
「昔…誰か、優しいひとが、こんな話し方をしていた気がするんだ」
そんなひと、いたはずがないのに。
どうしてか、懐かしい心地がするのは。気のせいなのだろうか。