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プロローグ

 丁寧に手入れされ、艶めいた漆黒の髪に貴重なブラックローズを飾り、薄いレースで顔を隠した。

 レースの下から露出しているその唇で、うっすらと笑っているのが見て取れるだろう。

 最高級の黒の生地がふんだんに使われたオートクチュールドレスを身に包み、世界一大きなブラックダイヤを首に飾る。

 濃いルージュを引いた唇。

 磨かれた美しい爪は黒く染めている。

 大きくスリットの入ったドレスからは美しく鍛えられた白い足。

 足元のヒールには宝石がちりばめられ、歩くたびにキラキラと光が反射した。

 神殿の慈善パーティに似つかわしくない全身黒を纏った私の装いにみんなの注目が集まる。


 私は『ブラックローズ』。この国を呪い、絶望に落とすために帰ってきた元大聖女。


 見知った顔の貴族たちが私を見て青ざめる。

 お久しぶりです、みなさま。

 私が命を削って助けたお体は大事にしてくださっていますか?

 あら、失礼、大聖女だというのは内緒のお話でした。 

 だって、大聖女はとっくの昔に罪に問われて首を落とし、その首はレリア国に贈られてしまったのですもの。


 カツカツと小気味のいいヒールの音がホールに響く。

 背筋を伸ばし、堂々たる態度で立つ。


 白い法衣を纏い、清い心根で人々の心を照らし、なにも知らずあなたたちに尽くした大聖女はもういない。

 ここに居るのはこの国を滅亡に導く『ブラックローズ』なのだ。


 王太子夫婦をまっすぐ見据える。

 私と婚約していたアーノルドとその座を奪ったジェシカ……。


 心から、あなたたちを祝福してあげる。

 そう……私なりの方法でね。



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