第9話 5月1日 妹の千照(ちあき)とyoutuber(2)
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千照は応援しているつもりなのだろう。俺とヒナがうまく行くように。
俺たちと遊ばなくなって遠慮して、少し寂しい思いをしているだろうに。
千照が俺を後押ししたから、タイムリープ前は俺からヒナに告白できたのは確かだ。
「どうしてよそでお風呂に入ったの?」
「俺が川に落ちて、友達の家が近かったから、お風呂に入れて貰ったの」
「ええ。他の女のとこじゃないんだ。ふうん……つまんないの」
よかった。どうやら、友達が男だと勘違いしてくれたようだ。
もし高橋さん……女の子だとバレたら、めちゃ問い詰められそうだ。
「千照は何を期待しているんだ?」
「ううん。お兄ちゃんちょっと元気が無さそうだったから……もしかしてその友達に掘られ——」
「おいっ」
「ぷぷっ。お兄ちゃん分かりやすくて、ざぁこすぎる」
千照がふざけて笑う。でも、千照なりの励ましだったのかもしれない。
こんなに優しく元気なのに。千照が近い将来、部屋に引きこもってしまうなんて信じられない。
引きこもった部屋から叫び声や、泣き声が聞こえてきて、とても俺は話しかけることができなかった。家族の雰囲気も最悪になった。そうなるのは絶対いやだ。
いつまでも、調子こいて俺を弄って欲しい。
「えっ? お兄ちゃん?」
思わず、片手で千照を抱き締め、片手で頭を撫でていた。
俺の胸に顔を埋める千照はすぐに力を抜いて身を任せてくる。
やがてゆっくりと顔を上げ、上目遣いで俺を見る。少し顔が上気して赤くなっている。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「あ、悪い。何でもない。嫌だったか?」
「ううん……前良くしてくれてて……嫌いじゃなかったから」
そっか……。妹がそんな風に思ってくれていたなんて知らなかったな。
千照の身体の温もりが尊いもののように感じた。
俺は千照を抱いたまま続けて聞く。
「なあ、千照、その、5月20日に誰かと会う予定あるか??」
「20日? そんな先のこと分かんないよ」
そりゃそうか。まだこの時点で問題となる人物に接触してないのかもしれない。
「じゃあさ、もし20日に誰かに会うことになったら教えてくれるか?」
「えっ? ……分かった。いいよ」
千照が不審がると思ったのだが、あっさり従ってくれそうだ。
俺のことを意外と慕ってくれてたのかな?
タイムリープ前は気付かなかったことだ。
「それでさ、千照の方こそ好きなヤツとかいないの?」
「んー。リアルではいないかな。youtuberなら?」
「へえ、誰よ?」
俺が聞くと、千照は一瞬俺から目を逸らした。
不機嫌になったわけでも無いし、どちらかというと少し恥ずかしそうな表情に見える。
「……あ、もうこんな時間……そろそろ動画がアップされるかもだから部屋に行くね。あとでアドレス送るね、お兄ちゃん」
「うん。わかった」
そう言って千照は自室に戻っていく。
うーん。そのyoutuberと何かあるのか? まるで恥ずかしくて俺から逃げたようにも見える。
5月20日……朝帰りした千照。光を失った瞳を思い出す。表情もなく、ただそこにいるだけの存在。
何も話さず、痩せ細っていく痛々しい姿。
でも今は……。表情豊かでなんだかんだ言いながらも、俺に優しく接してくれて、そして慕ってくれる妹。
去って行く後ろ姿を見て、俺は絶対守ってやると決意する。
youtuberか。まさか、須藤先輩と何か関わりがあるのか?
念のため明日高橋さんにも話しておこう。
どちらにしても千照を……大切な妹を傷付けた奴に復讐してやる、と強い決意をする。
必ず暴いてやる……!
☆☆☆☆☆☆
そしてその翌日。登校し、教室に入ると……。
なぜか俺の席の隣に、高橋さんが座っていた。
「おはよう、西峰君!」
どうやら、高橋さんがそこにいた男子にお願いして代わってもらったらしい。
ちょっと嬉しいような気もするけど、ホントどうして?
でもこれは、近い未来、俺から幼馴染みのヒナを寝取る須藤先輩への、プレッシャーになるのかもしれない。
先輩が口説こうとしている高橋さんと俺が仲良いところを見たら、どう思うだろう?
悔しがるだろうし、ムカつくかもしれないな。
そうなったら、俺の気持ちも少しは晴れるだろうか。
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