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第35話 5月5日 対決(3)

 見ると、優理は顔を真っ赤に染めている。

 なんで照れてるんだろう?


「優理、顔が赤いよ?」

「あ、その……たつやさんに言っているような気分になってしまいました」


 なんだそれ?


「じゃあ、送るね」

「はい、お願いします」


 送信!

 ……ピコンッ。

 数秒で返信が戻って来た。食いつきすぎだろおい。


『しょうがないなあ、じゃあ僕が優しく教えてあげるよ』


 この文章を見て、露骨に顔をしかめる優理。


「うう、たつやさん以外にこんなこと言われるとすごく……」

「すごく?」

「え、えと……その、すごく嫌な気持ちになります。ダメですよね、人に対してこんな風に思ったり言ったりするの……悪口を言ってしまいました」


 俺以外に、っていうのが気になる。俺もこんなこと言ったら、まあ言わないけど、もし言ったら気持ち悪いって思ってくれないとチョロい子は卒業できない。

 優理の言葉を逆に言うなら、俺なら大丈夫って意味だけど、いやこんな俺キモくないよ? たぶん。


「悪口ね、いいと思う。たぶんそれは普通の気持ちだと思う。俺でもキモい、って言うよ」

「キモい、ですか?」

「うん。さあ言ってみて『教えてあげる』なんてキモーイって」

「え、えと。こほん」


 優理は咳払いをしえ、背筋を伸ばし、おずおずと口を開く。


「教えてあげますなんて、きも……気持ち悪いです」

「……。ぷっ……」


 俺は思わず吹き出した。


「うん、全然違うけど、まあ優理はそれでいいか」

「は、はい。私には難しいみたいです」


 無理して他に合わせる必要ないよな。優理は優理だ。こういう、言葉使いが丁寧なところも、優理らしくていいのかもしれない。

 無理に変える必要は無いだろう。


 そして、すぐに次のメッセージが来た。さっきの続きだ。


『じゃあ次も、自撮りを送ってくれないかな。次は下着がチラ見えするやつ』


 ほらきた。次第に肌の露出を高くしていって、もっときわどいものを送らせるのだろう。

 さてどうするか。優理は露骨に嫌そうな顔をする。


「どうしましょう? まさか……お母さんにそういう写真撮って貰うのは……言い訳ができないです」

「それは仕方ないよ」

「じゃ、じゃあ……私が……頑張ります。たつやさんに見せるつもりでやれば、撮れるかもしれません」


 そう言って座ったままワンピースのス裾をつまみ、めくった。白い肌が露わになり、ドキッとする。


「こ、これを、写真にとるのは……どうでしょう?」


 再び恥ずかしそうに言う優理。

 却下だ。


「優理、送ったら【花咲ゆたか】が見るんだけど」

「それは嫌です」

「うん。俺も嫌だ」

「そうなんですねっ」


 なんだか、俺が嫌だと言ったことに対して嬉しそうに言う優理。


「じゃあ、どうするのですか?」

「コイツは黒なのが分かった。下着がチラ見える写真送れって、もう間違い無いでしょ。写真を送らずに決定的な言葉を引き出そうと思う。


 そこで、次はこういう文章を送る。


『あの、撮ろうとしたけど……これ以上、自分で撮るのは恥ずかしいです』


 対する返事がすぐにやって来る。


『じゃあ、僕が撮ってあげるよ。撮影してあげる。会えないかな?』


 来た。相変わらずキモすぎるけど、もう慣れてしまった。しかもこれで確定した。間違いなく黒だ。

 もう遠慮はいらないだろう。俺は、家から離れた河川敷の橋の下を誘き出す。

 ノコノコとやってきた様子を動画や静止画で撮影。顔が分かれば最高だ。

 そして、その映像をネットに拡散する。


「明日に呼び出すよ。撮影は俺が行くから、優理は家で待ってて」


 俺はトドメになるメッセージを送り、約束を取り付ける。


『分かりました。じゃあ、河川敷の橋の下に行きます。来て下さいますか?』

『そこは家の近くだから歩いて行くよ。可愛い服を着てくれると良いな。楽しみにしてる』


 完全に信じているような気がする。

 可愛らしい写真や警戒心低めな感じが良かったのかも。


 あとは明日を残すのみだ。そう考えていると優理が決心をしたような面持ちに俺に訴える。


「タツヤさん、私も行きます」

「いや、これは俺だけで」

「いえ、ここまで一緒にやってきたので、私も手伝わせて下さい。こんな人が千照さんに近づくなんて……私は怒ってるのです」


 最後のメールを見た時から、優理の言葉が少なくなっていたのは怒っていたからか。

 むう、頑固だなあ。

 でも、ぷりぷりしている優理も可愛いな。怒っててもそんなに怖くないし。まあ優理らしいと言えば優理らしいか。


「わかった。一緒に行こう」

「はい! じゃあ、明日も一緒にいられますね!」


 優理はとても嬉しそうに頷く。

 うーん、明日は敵と接触するから多少の危険はある。そんなに喜んでもいられない。


 とはいえ、勝手についてこられてミスされても困るし。

 優理の笑顔はとても眩しく、一緒にいるのも悪くないだろうという気分になるのだった。


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