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第33話 5月5日 対決(1)

「これ、誰?」


 素直にそう聞くと、


「私のお母さんです。今の写真を撮って若返るアプリを使ってみました」


 なるほど。面影があるけどちゃんと別人だ。鮮明だし、不自然さはない。

 加工は分かるかもしれないが、顔をよく見せるように加工するアプリなんていくらでもある。

 求められて無加工の写真を送る人の方が稀じゃないのかな。口元を隠したり、目を大きくしたり。


「でも、これ使って大丈夫?」

「はい。いいと思います。加工してますし、人に送っていいか聞いて、いいって言ってました」


 じゃあ、これを使わせて貰おうかな。

 それにしても加工入っているとは言え、優理のお母さんもしかしてすっごく若く見えるんじゃないのか?


 俺は早速それを【花咲ゆたか】に送信した。すると、すぐに返信が来る。


「めっちゃ可愛い! じゃあさ、全身が分かる写真ある?」


 コイツさあ、食いつきすぎだろ。

 確かに送ったのは顔が中心になっている。

 体型はなんとなく分かる程度だから、全身を見たいのだろう。あーもうこの時点で黒確定な気がする。


 俺はさっそく優理に聞いてみる。


「全身が映った写真が欲しいみたい」

「そうですか。ちょっと待って下さい」


 え。どうするんだろう? まさかお母さんの全身写真を撮影しに行ったのか?

 それ、色々と大丈夫か?

 待っている間に【花咲ゆたか】から追撃のメッセージが来た。


「実は真白さんめっちゃ可愛いから、ひょっとしたらyoutuberでやっていけそうな気がしているんだ。もしそういうのに興味があるなら、力になれると思う。僕と一緒にコラボもできるだろうし。仲良くなったら付き合ってカップルyoutuberもいいよね。だからもっと真白さんのことが知りたくなったんだ。写真待っているよ」


 何言ってんだコイツ。


 こうやって甘い言葉で誘って写真を送らせているのか。

 俺は冷めた目で見てるから、キモいなーとしか思わないけど千照のような中学生はコロッといっちゃうのだろうか。

 この感じだと次くらいに、色っぽい写真とか要求されそうな感じだな。


 そう来たらどうしようか。ちょっと考えなければ。

 優理のお母さんにそんな写真を頼むわけにも行かないし。


 俺は遅くなることを返信しようと思ったけど思い留まる。

 そうだ。一晩寝かせよう。そして明日は——。


「優理、明日一緒に遊ぶ予定だったけどどうする? ネカマの件続きしようと思うのだけど」

「あ、はい……そうですね。私の家でいいんですよね。お待ちしています。あと、全身写真撮れました。これで大丈夫でしょうか?」


 送られて来た写真は、確かに体型が分かる程度に体がバッチリ映っている。顔は輪郭だけだけど、さっき送った写真と同一人物なのが分かる。

 やけにスタイルが良い。でもまあ、とりあえず送るのは待っておこう。


 あとは明日、優理と一緒に調査を進めよう。

 黒なのは確実として、千照を悲しませた——恐らく無理矢理、千照とヤっただろうけど、それがコイツなのか、他にもいないのかどうかが気になるところだ。


5月5日(金曜日・祝日)


 朝起きると、ヒナからメッセージが届いていた。


「悪い夢は見なかったよ。その代わりタツヤとした夢を見ちゃった。ありがとうね」


 そして、照れたようなスタンプが届いた。

 うーむ、最後までした上に、ここまで感謝されるとなんか複雑な心境だけど、ヒナが悪夢に襲われないのはよかったと思う。もう大丈夫かな。

 俺は一言、「よかった。不安な時はいつでも教えて」とグッと親指を立てたスタンプを返した。


「ふう」


 一息つく。メッセージを送ってから酷い罪悪感に苛まれる。

 別に昨日ヒナとしたことに後悔とか罪悪感を抱いたわけじゃない。


 実は、俺も肌色多めの夢を見たのだった。

 ただ、その相手はヒナじゃなくて優理だった。

 節操なさ過ぎだろ、俺。夢だから選んで見たわけじゃないけど、ヒナとした直後にコレとは、さすがに落ちこむ。

 いや、むしろ今までずっと我慢していた反動なのかもしれないけどさ。

 こんなんで優理まで手を出したらさすがにクズ過ぎる。もっとも、優理とすることなんて無いだろう。


 朝食を摂り、出かける準備をする。今日はいつも起きているはずの千照の姿が見えなかった。

 まあ、休みだしゆっくりするのもいいだろう。

 それに、昨日のことをしつこく聞かれても恥ずかしいし。どうせヒナに直接聞くのだろうし。


「いってきます」


 俺は優理の家に向けて歩き出す。


 ★★★★★


 インターホンを押すと、少しして玄関のドアが開く。そこには私服姿の優理が立っていた。白いワンピースが清楚さを際立たせていてとても似合っている。


「おはようございます、たつやさん」

「おはよ、優理。上がっていい?」

「はい、どうぞ」

「ありがとう……ワンピース可愛いね」


 俺がついそう言うと、優理は頬を赤らめながらはにかんだ。

 そんな仕草も可愛くてドキッとする。


 優理の部屋に入ると、既にお菓子が用意されていた。

 それをつまみながら、本題である【花咲ゆたか】の話をする。


「昨日送って貰った全身の写真だけど、念のためお母さんの他の写真見せて貰ってもいい?」

「はい、いいですよ。うんしょっと」


 そういって俺の隣に来て、スマホを見せてくれる優理。近づくと、良い匂いと優理自身の香りも少し感じる。

 今朝見た艶めかしい夢を思い出して、俺の顔が熱くなっていく。

 いかんいかん、朝から何を考えているんだか。頭をブンブン振って邪念を払った。


 っていうかお母さん若いな。優理の隣に並んでいる写真があったけど、お姉さんにしか見えない。

 当然面影があるけど、もっと綺麗系というか。優理は少しあどけなさがあって可愛らしさもある。


「美人だね。優理も可愛いわけだ」

「た、たつやさん……その、恥ずかしいです」


 なんか普通に可愛いとか言ってしまう。うーん、俺チャラくなってしまったのか?

 多分昨日、してるときにヒナに言いまくっていたからかも。


「だって、本当だからね」

「も、もう……」


 両手で顔を覆って恥ずかしがる優理を見てチョロいなーと思いつつ、俺は写真を送る準備をする。

 確かに、お母さんがこんなに若く見えるのならアプリで加工したとしても不自然さが少ないわけだ。

 これなら送ってもいいだろう。また顔などを要求されても対策ができる。


「じゃあ、送信!」

「はいっ!」


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