表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/52

第23話 5月3日 デートと敵の存在(9)

 DMを送って一息つく。すぐ返事は来ないよなあと思いつつ、スマホの画面を見ていると1分ほど経った。


「返事、来ましたか?」


 優理が俺のスマホをのぞき込む。

 まだ返事は来ない。即レスしてこなければ、半日放置もあり得るだろう。


 そもそも、ファンのようなDMをすぐゴミ箱に捨てるようなサバサバしたタイプや交流はしないと決めているような人物なら、永遠に返信が無いだろう。

 真っ当な人の可能性がある。でも、その可能性はたぶん低い。

 妹にyoutuberと言って写真を送らせようとした奴は間違いなくどこかにいるのだ。


 しばらくして何も反応がないスマホに焦れる優理。

 楽しんでるなあ。


「むぅー今日は来ないのでしょうか?」

「そうだね。何かあったら連絡するよ。優理は暇な時間にでも【花咲ゆたか】を調べてもらうと嬉しい」

「はい! 頑張ります」


 ぐっと両手の拳を握る優理はとても楽しそうだ。

 俺がスマホをしまおうとするとき、優理が何か気付いた様子で言った。


「たつやさんは妹さん、千照(ちあき)さんを心配されているのですよね。家族登録したらスマホの機能で現在位置が見れますよ? 私のいる場所はお父さんに把握されてます」

「え? そんな機能がるの? アプリじゃなくて?」

「アプリじゃなくて最初からできるみたいです。だから、こっそり家族登録されると、その機能が動いていることに気付かないかもしれません」


 へえ、そんな機能あるのか。ある意味怖い気がするけど、家族ならまあ大丈夫か。


「たつやさんも同じメーカーですし、千照さんも同じなら使えます」

「同じだよ」

「じゃあ、登録した方がいいと思います。悪い人が呼び出したら——」


 そう言って目を伏せる優理。ぎゅっと目を瞑り、自らの身体を抱えている。

 想像しているのかもしれない。悪い人に呼び出されて出かける意味を。


「そうだね。でも、嫌がるんじゃないのかなぁ? 特に俺に知られたくないこともあるんじゃないの?」

「そうなんですか? 私はたつやさんに場所知られても平気ですよ?」

「優理はお父さんから厳しい指導を受けていたからね。今でもお父さんに居場所知られて平気?」

「は、はあ。たぶん」


 優理にとってはが当たり前になってるんだな。

 しょうがない。また分からせるしかない。


「例えば、さっきモールで遊んでたけど、そこにお父さんが来たら……」

「あっ……やっぱり嫌かもですね。『その男は誰だ? 今から私と話をしよう』と言ってたつやさんを連れて行きそうです」


 優理がモノマネをするように、父親のセリフを言う。優理が言うとかわいくて怖くないけど、一緒にいるだけで連れて行かれるのか。怖いな。


「予想以上にヤバいねお父さん……そうならないために、じゃあ、追跡機能、外しちゃう?」

「……外しちゃいますね」


 俺から提案しておきながら、いいんだろうか? 嬉しそうに解除の操作をしている優理を見ながら、少し罪悪感を覚える俺だった。

 多分、優理のお父さんにとってはすごくいい子だったろうけど、俺が変化を促している。


「たつやさん、どうかしましたか?」

「ううん。この機能を教えてありがとう。さっそく今晩、千照のスマホに設定するよ」

「はい。ちなみに、たつやさんは私の居場所知りたいですか?」

「うーん、どうかな」


 と曖昧な返事をすると、しゅんとする優理。知られたいのか?


「や、やっぱ知りたいかも。でもムリだよね。俺と優理は家族じゃないわけだし」

「そうですね……だから、たつやさんと家族になれたらいいなって思っちゃいました」

「家族? というと、俺と千照みたいな兄妹ってこと?」

「いえ、そうじゃありません、よぅ」


 俺の察しが悪かったのか、ぷう、と頬を膨らませる優理。


「というと?」

「う、うう……恥ずかしくなってきました……なんでもありません」


 真っ赤になって慌てる優理が可愛い。

 それはさておき、これはとても有益な情報だ。もし、千照が誘き出されても足取りを追える。


 タイムリープ前のあの日……千照に何かあったのなら、その場所に向かって阻止すれば良い。

 できることは何でもしておきたい。


「追跡できるっていう情報はめちゃ助かるよ。ありがとう」

「はいっ!」


 ブーッブーッ。


 このタイミングで、俺のスマホが振動する。

 ん……これは——。


「あっ、たつやさん……もしかして!?」

「うん、【花咲ゆたか】から返事が来た! えーっと?」

【作者からのお願い】


この小説を読んで


「面白い」


「続きが気になる!」


「この先どうなるの!?」


と少しでも思ったら、ブックマークや、↓の★★★★★を押して応援してもらえると嬉しいです!


まだ★評価されてない方も、評価で応援して頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ