6話 懐かしい匂いに誘惑された後
「私、彼の子供を孕んだ、でも彼の父さんに、無理やり堕胎された……」
なんで? なんであんなことを、僕の面前に言っているんだ、欅姉……
その後、僕たち三人はしばらく静かになった。
「ひ…まさしく悪魔の仕業!脅迫的に堕胎させるなんで……申し訳ありませんけやきさん、やはりこんなことは、聞いてなかったらいいです」
「いいえ、正直こんなふうに自分の秘密を言ってみたら、ちょっとスッキリした気がするね」
「けやきさんの役に立てれば何よりです……私は先に失礼させて頂きます、マサ、お客さんは頼む、悲しいことを酒で忘れさせてくれ」
「はい、ハヤトさん」
ハヤトさんは席から離れた、どうやら他のお客さんに指名されたようだ。
僕は、ようやく欅姉に言葉を出せるようになった。
「欅姉、僕は……う!」
彼女は、ぐいっと僕に近づけ、そして僕をキスした。
でも僕は、彼女から離れた、ここでお客さんとキスしたら、ルール違反だ。
「ごめん欅姉、ここで、だめです」
「じゃここじゃないといいってことだね」
「本当に、したいですか?」
「今の雅人は私の『パパ』でしょう?それらしいことしてくれよ……」
「わかりました、ここの三階に部屋があります、ちょっと待てて」
僕は立ち上がって、部屋のカードを取りに行った。
受付で、ハヤトさんが立っている。
あれ? 指名されたじゃないのか?
「あのハヤトさん、さっきはありがとうございました、お客さんが三階のサービスを注文しました」
「その元彼氏はお前だろう、マサ?」
やはり気付かされたんだ。
「はい、僕なんです」
「今回は見逃してやる、次は元彼女なんて店につれてくるな!トシの件は覚えてるだろう?」
トシは、ここのホトスの一人だった。彼は二ヶ月前、売り上げのために元彼女をここに招いた、でもあの女は復讐のためにわざわざ来たんだ。彼女は一階でトシのつやごとをその場にいる全員に告げた。トシはあれから全然指名がなくて、先月辞職した。
「覚えてます、でも欅さんはそんな人ではありません……」
「どうでもいい、さっさと彼女を抱いて行かせてくれ、彼女もお金持ちじゃなさそうだ、一時間で十分だろう」
「分かりました、一時間でいいです」
「いいえ、三時間で願ってもいいかしら」
欅姉は、突然僕の後ろに現れた、幸いさっきの話を聞いてないようだ。
「三、三時間ですか、けやきさん?部屋のサービスは前払いですよ」
「大丈夫、六万で足りる?」
「はい、初来店のお客さんには割引がありますから、六万で十分です」
欅姉は、さっき僕があげた六万円をハヤトさんに渡した、そして部屋のカードをもらった。
「ありがとうございました!存分うちのサービスを楽しんでください!」
「きっとそうしてもらう、じゃ雅人、行こう」
僕は彼女を三階の部屋へ案内した。
欅姉はドアを閉めたら速やかに上着を抜いて、ベッドに座った。
「早く抜いてよ雅人、最初はこのGカップでパイズリするのが一番好きでしょう?」
欅姉は、高校の時から巨乳だ。
付き合ってた時、何回もその胸にパイズリされた。あの時はたしかに「このおっぱいを吸えるのは僕だけ」とか言ったようだ。
その五年ぶりの胸は今、目の前にある。
久々に感じだ心の動悸は、五年前あの普通な午後と同じだ。
僕は服と下着を抜いて、彼女に近づけた。
懐かしい唇、懐かしい胸、懐かしい体、それに、懐かしい温もり。
なんであの時、僕は彼女のそばから逃げたんだろう?なんでただ父さんの指示通りに、彼女にあんな苦痛を経験させたんだろう?僕は、今までずっと、彼女のことが一番大事にしているじゃねのか?
どしがたい男だ、僕は。
その後の三時間、僕たちは力を尽きるまで何回もセックスした。
「ホント、ゴムつけなくてもいいって言ったのに……」
「また悲しい思いをさせたくないから」
「もしかして、君の子を孕んてだことは、私にとって悲しいことでも思ってるの?」
「あれ、違うの?」
「最初に知った時は怖かった、でも、本当に嬉しかったよ、雅人ちゃん」
「ありがとう、欅姉、本当に……」
僕たちはサービス時間の後、一階の受付に帰った。
欅姉はこの後大学の寮に戻る、でも次はどこでまた会う約束もしたんだ。
「あそうだ、ちょっと聞きたいことがある」
「なんですか?」
欅姉は僕に答えず、受付の係さんに問いかけた。
「あの、ここで専有ホストのサービスもあるよね?」
「はい、もちろんです。でもメンバーシップによって、専有する時間が異なることになります。」
「あの欅姉、一体何を?」
僕が聞いた。
「決まってるでしょう、これからも雅人の常連になってあげるよ……それで、どんなメンバーシップがあるの?」
「ブランズは毎月30万で、指名するホストを一日に3時間、専有することができます、でも予約が要ります;そしてシルバーは……」
「じゃ最初はブランズで」
「あ、はい、ありがとうございます!」
欅姉はカードで三十万の料金を払った。
どうやらこれから一ヶ月間、毎日欅姉と会えるだ。
心は嬉しいが、体は保たないかもしれんな。
「ごめんね雅人、今はブランズしか出せない、でもきっと、雅人の時間をどんどん独占していくね」
ドン、ドン
なんだ?今の心の鼓動は?
嬉しいから?いいえ、違う、この鼓動、前にも感じたことがある、一体……
「え……楽しみです、また明日ね、欅姉」
今はこれしか言えない。
「ん、仕事、頑張ってね、雅人」
僕は彼女を外まで送ろうとするところ、ハヤトさんはどこから現れて、僕に一つのメッセージを伝えに来たんだ。
「お疲れマサ……そうだ、一時間前、お前に会いたい人がいた、でもお前は三階にいるから、彼女を待たせておいた」
「そうですか、どこですか?」
「彼女は中に入りたくないから、ずっと外に待っている」
「わかりました、探してきます」
誰だ?
僕は店を出た。看板の後ろに、一人の女性が地面に座っている。
「ゆ、夕桐?なんで」
どうして夕桐はここにいる?今朝は、もう僕に会いたくないって言っただが……
彼女は、僕の声を聞いて、よろよろ立ち上がった、まるで傷つけたのようだ。
僕は速やかに手で彼女を支えた。
あれ?なんだこの匂い?タバコ?夕桐はタバコ吸えるのか?
「どうした夕桐?どこが痛いのか?」
「助けてください、英動くん……」
「助け?何があった?」
夕桐は、涙をこぼしながら、僕に言った。
「さっき……『パパ』に……中出しされたんだ、私、どうすればいいの……?」
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