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2話 初仕事をサポートした後

 デイン、デイン、デイン……

 僕は目覚まし時計をオフにし、ベッドから起きた、今は朝の九時。

 ここは僕のマンシオン、贅沢じゃないけど、周りが静かで食事にも便利。何より「夜鳴らし」に近い、歩いてただ十分くらいかかる。

 僕は缶ラテを飲みながら、スマホンで夕桐詩子にメールを送った。


 「おはよう、起きたか?」

 「おはよう!起きたよ、シャワも浴びた!」


 夕桐はすぐに返事した。

 一時間後、彼女は始めのパパ活をやるんだ。


 「緊張するか?」

 「とても!ちょっと怖くなった!」

 「じゃ諦める?まだ間に合うよ」

 「いいえ!一緒に頑張るって言ったんだ!英動くんもそばにいてくれるし!」

 

 やはり、彼女はどうしてもやるんだ、僕もその決心を尊敬しないと。

 そう思ってる時、彼女から写真一枚をもらった。開いてみたら彼女の自撮り、ブラとパンツしか着ていない。


 「これでパパ活に似合うの?」

 「学生ブラジャじゃない……お前おっぱいデカいから、弾けるそう」

 「だめなのか?でも昨夜のブラはもう汚いよ、誰かさんのせいで!」

 「まあ、相手は若い生徒が好きのおっさんなら、学生ブラジャはもっと興奮させるかもしれんけど」

 「じゃ決まりね!英動くんはもう出発するの?」

 「え、渋谷はちょっと遠いから」

 「じゃ私も、ケーキ食べたらすぐ行く!」

 「マイクも忘れないで」

 「了解!」


 こいつ、なんか盛り上がってきた、デートしに行くじゃないぞ。


 僕はラテを一気に飲んで白いスーツに着替えた。今日のホスト仕事は午後1時から、夕桐の件が終わったあと、一緒に昼飯でも食べて直接クラブに行こう。

 僕は電車で渋谷のハチ公前に着いた、今は9時40分、20分後、夕桐は初めてのパパとセックスを……

 いえいえ、また何を悩んでるんだ僕は! さっきから自分らしくないことばかり考えて、僕に特に関係ないだろう? 夕桐はどんな男とやろうとしても、彼女の自由だ。


 「英動くん!ここ!」


 目の前に、白いパークを着ている夕桐は僕に手を振っている。

 可愛い、この姿。

 前のことを思い出す。


 「結構早いな夕桐、やはり緊張?」

 「それもそうだけど、英動くんと会えたらホッとした」

 「そう、マイクは?」

 「ちょうど耳にぴったり、髪で隠せるよ」

 「じゃ、初仕事の前、大事なポイントを繰り返してみよう、僕はそこ行くね」

 「あれ?このまますれば……」

 「だめよ、事前に待ち合わるところに来て、女の見かけを確認する男もいるぞ、もし君は他の男と会話するのを見られたら大変だ。」

 「そう……確かに」

 「じゃ、初仕事の健闘を祈る、頑張ってね」


 僕は近くの喫茶店の前で足を止まった、ここなら全てを見える。スマホンでマイクと接続すれば…


 「聞こえるか、夕桐?」

 「あ、聞こえるよ、これ便利だね」

 「じゃ最初に、パパと会ったらまずどうする?」

 「えーと、まずは可愛い挨拶して、後は身分をチェックするよね」

 

 そう、この場所はパパ活の待ち合わせ聖地だから、人違いのこともよくあるって常連から聞いてもらった。まさかホストの仕事はこんな時に役に立つとは、ちょっと微妙なかんじ。


 「そう、そして必ず一言褒めてやるよ、かっこいいとか、背が高いとか」

 「でも、もし短くてキモいおっさんならどう褒めるの……」

 「嘘を言え嘘、どんな醜い男もかっこいいって言ってやれ」

 「わ、分かった!お手当てのために頑張る!」

 「んん、そして金と言えば……」

 「覚えてるよ、せ……セックスの前に払ってもらうよね」

 「そう、そして必ず現金でね、もし前払いを断ったら、どんな理由でもその場で立ち去ればいい、僕も部屋のそとにいるから」

 「おお、あでも、初仕事はいくらもらえばいいの?」

 「お前の場合は、少なくとも5万を狙え、できるだけその以上」

 「わ、分かった、やってみる……あ、誰かこっち向かってるよ……」


 もう来たのか、夕桐の始めのパパ、一体どんな人……

 夕桐に声かけた人は、三十代に見えるが、髪も髭もごちゃごちゃ、背が短くて太い、醜い男だった。しかもその顔を見れば分かる、生活習慣が悪い、引きこもりの無職。

 最悪だな、こんな男がこれからあの夕桐を抱くのか……

 でも夕桐は、笑顔で挨拶した、僕もそっちの話がマイクで聞こえる。


 「あの、パパーズのウタちゃんですか?」

 「はい、ウタです、マエダさんですか?」

 「そうそう、今日はよろしくね~」

 「こちらこそおねがいします!マエダさん、カッコいいですね!」

 「そう、どのへん?」

 「えっと顔ですかね、私も同い年のお兄ちゃんがいますから!」


 あれ、結構上手くやってるじゃね? 夕桐は長女だから、つまりうそか……心配する必要がなさそうだ。


 「ホント?ブラコンだねウタちゃんは、でもそれもいい!気に入ったぜ!大人3でどうかな……」

 「えっと、大人サン?……」


 まずい、これは夕桐に言っておきてなかった。

 僕はスマホで彼女に伝えだ。


 「夕桐、それは3万円のことだ、でも少ない、5万って頼んでみて!」


 「えっと、3はちょっと……大人5ならいいですよ~」

 「へへ?5は高すぎるよ、君は別に上物の美人じゃねから、3を貰えば喜べ、他の男なら多分2しか出せねだぞ」


 ふざけんなこのクソおっさん! 自分の豚ヅラ見てみろ! そっちのほうが一番下の劣等品だろうか!


 「断れ夕桐!帰るぞ!そんなやつに……」


 でも、夕桐はあの男に話し続けた。


 「そ……そうですね、私、5を求めるほどの美人ではありませんよね…」

 「そうだよ、じゃ3でいいってことだね、もし僕を喜ばせてくれたら、またお前を注文するからな!」

 「わ……分かりました、よろしくおねがいします……」

 「よーし、ラブホへ行こうぜ、ウタちゃん~」


 だめだ夕桐! 3万でそんな男とするなんて!

 ここは二人を止めるべきか? でもどんな理由で? 僕は夕桐の彼氏でもないし。

 それに、止めていいか?

 クソ、こんな迷ってるのは僕じゃない、僕はただあの変態に夕桐の体を触らせたくない、止めるぞ!

 しかし夕桐は、歩く前に耳に入ってるマイクを外してカバンに入れた、このままいいってことか……

 そうだ、夕桐は覚悟の上でここに来たんだ、無理矢理に邪魔すれば、あえて彼女への無礼だ。そもそも夕桐も3万の手当で納得したんだ……クソ、これでまとめな理由がなくなったじゃねか。

 とりあせず、今はついていこう、もし夕桐が後悔したらまた間に合う。


 あの男は、近くのある普通なラブホを選んだ、名前は「しぶやラブ」。

 彼らは503室に入った、そして僕は部屋の外でこんなことが聞こえてきた。


 「ウ、ウタちゃん!もう我慢できないよ、このままフェラしてくれぇ!」

 「え、でもシャワーがまだ……」

 「そんなことしなくていいから!ほれ、口開けて~お、いいぞ!ウタちゃんの口の中!熱いよ、おおおお!もうイク、イクよウタちゃん、イク!!!」

 「うんん……」

 「は、気持ちいいぞ、さ、僕の精子を飲んでみて……いいぞ、良い顔してるぞ!じゃ次、ベッドでやろう~ウタちゃんのおっぱい触りたいよ!」

 「あ、あの、マエダさん!その前に、お手当てですが……」

 「終わったらちゃんとあげるよ!早く抜いて!あ、それに、僕のことを‘お兄ちゃん’って呼んで~」


 どしがたい、この男、このまま夕桐を傷つけてたまるか……

 僕は、強い力で部屋のドアを叩き出した。


 「こら!出てこい!聞こえんのか?さっさと出ろ!」

 

 その男は文句言いながらドアを開けた。


 「誰だお前?今は忙しい……」


 僕は思わず彼を打ち倒した。


 「金がねえならパパ活するんじゃねいよこの野郎!夕桐、帰るぞ。」

 「え?でも、ちょっ!」


 幸い、彼女はまだ服を着ている、僕は彼女の手を握って外に連れ出した、このまま彼女のホテルまで送ろう。

 でも彼女は、全力で僕の手を振り切った、よく見たら、彼女は涙目になっている、そしてすごく怒っているようだ。


 「夕桐…どうした?」

 「なんであんなことした?!」

 「なんでって、もちろんお前を助けに決まっ……」

 「求めてないよ!英動くんの助けなんて!人の邪魔をするんじゃないわよ!」

 「お、落ち着いて夕桐……」


 近くの人たちは僕たちを見ている。


 「どうやって落ち着くの?最後までやれば3万円もらえるだよ、3万円!」

 「しかしあいつ全然払う気ないだよ!」

 「そんなこと分からないだろう?」

 「いやあれは……」

 「英動くんって、記憶力がよいじゃないのか?私はどれだけの覚悟をしてこんなことしてるって分かってるだろう?それじゃさっきのフェラはなに?もうあの男の臭い精子も飲んだんだよ!でもあんたのせいで、私は何をもらえなくなったんだ!」

 「夕桐……僕はただ」

 「私ね、もう一円も持っていないだ!さっきの仕事で今日の部屋代を払う予定だった、でもあんたのせいで…」

 「ご、ごめん夕桐、僕は……」

 「触らないで!」


 夕桐は、僕から離れた、そして、さっき来た方向に歩い始めた。


 「夕桐、どこへ?」

 「ついてくるな!」

 「……」

 「もう、英動くんとは会いたくない……」

 

 僕は絶句した。ただその場で立って、夕桐の立ち去る後ろ姿を完全に消えるまで睨んでいた。


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