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1.臆病者 2.身も蓋も無くブルー

『臆病者』


 あの人に悪気は無いのだ。ただ、誰の一番にもなれなくて、それがあの人を臆病者にしている。他人に対し気を遣っているのだと本人は思っているのかもしれないけれど、ぜんぜん気遣いになっていない事には気が付いていない。それが、あの人の悲劇だ。


 僕はあの人にずいぶんと、酷い事をしたのかもしれない。好かれている事を知っていながら、それがどういう意味なのかを深く考えようとはしなかった。それにあの人が僕をじっと見つめている事に気が付いてはいたけれど、気が付いていないふりをした。何度も。


 しかしそれって、お互い様ではないだろうか。あの人は、いい人でいたかった。僕は……いい人でいたかった。いい人でいたいもの同士が、結局は傷つけあった。いや、そうじゃない。


 言葉だけがむなしく、あいしていると、明滅した。ただそれだけの事。


***


『身も蓋も無くブルー』


最初から好きな人の事は、きっと最後まで好きだという事。

初めに嫌った人の事はいつまで経っても、嫌いでは無いにせよ、好きにはなれないという事。

だとしたらあなたと私はきっと、ここでお別れですね。

さようなら、お元気で、幸せになってください、どこか遠くで。


どうしてなのって聞かれても、返事に困りますが。

敢えて言うのだとしたら、そう。


酷い奴だと言われても構わないわけではないから、黙っていましたが。最後に嘘でもいいから愛して欲しいと、そんな風に頼まれたら断りにくい程にはあなた、私を愛してくださったのだから。


最後の、愛ですが。

私、あなたに興味がありません。それが、事実です。嫌いでも好きでもなく、ただ単に、興味が無いのです。


それじゃあ、お元気で。

腕を離してください。

困ります。

死ぬなら、どうぞお一人で。


……

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